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8章:野口の思い
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8章:野口の思い
【野口太郎】
ホストとのボクシング対抗戦が決まったと言っても、特にいつもと変わらない練習をこなしています。
ジムでは年長者の僕ですけれど、誰よりも長い時間トレーニングをして、1日に三人くらいマスやスパーの相手をしていますよ。
まだまだ若い者に負けるつもりはありませんからね。(笑)
ただいつもと違うのはヘッドギアなしで8ozグローブ着用のプロと同じルールで戦うことくらいですね。
酒井くんや武笠くんや僕はプロ経験者だから馴染みがありますけれど、プロ経験のない斉藤くんと鈴木くんは初めて経験する条件ですから、試合が始まったらオッサンファイトとの違いにビックリするでしょうね。
けれど週に一度行われる合同練習も回を重ねる度に、二人ともヘッドギアなしの8ozグローブでの感覚にも徐々に慣れてきたと感じています。
多くは語らないですけれど斉藤くんは、今回の試合に向けて相当ハードな練習をこなしていると腫らして傷だらけの顔が物語っています。
引き締まった表情に斉藤くんの本気が現れています。
一時期は思い詰めた感じで動きが悪かった鈴木くんですけれど、何か吹っ切れたのか近頃は身の入った練習をしています。
初めて経験するルールでもありますから、リングに上がる恐怖は僕たちの比ではないでしょう。
けれどその恐怖に打ち克った鈴木くんは、結果はどうあれいい試合をすると確信します。
自分のやることを十二分にわかっている酒井くんは、合同練習に来ても僕たちのコーチに余念がありません。
酒井くんを中心にチームオッサンファイトの士気も上がり、全員でいい試合をしようよと僕たちの雰囲気を盛り上げてくれています。
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ボクサーでホストだった男の詩 ©著者:南月☆Dieち
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