9章:黍野龍 (11/11)

　唐突に真鍋は一般人には考えれない事をリュウに提案する。


真鍋「“龍吉会の龍吉丈一郎”さんてのがいるんだけど、そこに就職したら？」

リュウ「…た、龍吉会？」

真鍋「そっ！昔気質な人でオレも世話になってたんだ。親父の件もあるし、どこかに“就職”した方が何かとやりやすいだろ？」

リュウ「“就職”…。ハハッ、真鍋さんも悪い人ですね。堅気の人間が堅気の人間に稼業(ヤクザ)を勧めるなんて。」

真鍋「オレは“ジョーさん”て呼んでるんだけど、六本木に行って、その辺の人に“龍吉会長に会いたい”って言えば教えてくれるよ。…何かあればオレの名前を使えばいい。」

リュウ「…オレもすぐに彫師を始めても何かと準備もいるので、就職先の候補の1つに入れときます。」

真鍋「もし、そこに就職したらジョーさんによろしくと伝えてくれ。」

リュウ「わかりました。」


　それから5日後にリュウは出所した…。