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1章:青い薔薇は悪の華 (1/51)

1章:青い薔薇は悪の華


 ほのかな薫りのたちこめる寝台と、墓のように奥深い長椅子を置こう、ぼくらのために、さらに美しい空の下で咲いた、珍しい花々を棚に飾るだろう。

 二人の心は消えかかる情熱を競って燃やしながら、二つの大きな松明となって、二つの心の両面鏡に、二倍の光を照らすだろう。

 薔薇色と神秘な青色をおびたひと夜、ぼくらはただひとつの火花を交わすだろう。

 別れをこめた長いむせび泣きのように。

 そのあとになって天使が戸を半ば開けて、忠実に、また楽しげに、くもった鏡と消えた炎を甦らせるだろう。

 シャルル・ピエール・ボーレール「悪の華」恋人たちの死より

 
 一、真実はひとつじゃない

 未央は、このひと気の無い裏通りを抜けるのが好きだ。
 静まり返った空間に、自らのヒールの、こつん、こつん、こつん、と、いう音だけが響く。

 あたりは真っ白な銀世界。

 何年か振りに東京に降り積もった雪。
 ほんの束の間だけ、視界と、頭の中を真っ白にしてくれる。
 喧騒から乖離したこの空間で、一瞬立ち止まり、両の掌を天に向かって掲げてみた。
 ぽかんと口を開け、真っ白な雪と、饐えた空気を吸い込む。

 やはりここは歌舞伎町だ。

 空気までも銀世界のそれには、なり得ない。
 未央は流星への思いを、やがて解けて流れ行く雪に重ねてみた。

 溜息だけが口を吐いて出る。
  
 ヴィラージュのある六本木から、仕事を終えて送りの車を断り、タクシーに乗った。
「ここでいいですか?」
 いつものこと。
 区役所通りの入口で運転手に訊かれた。
 未央は答える。
「もう少し先、二つ目の信号を右に」、と。
 そしてこのひと気の無い裏通り
で、タクシーを降りた。

 

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青い薔薇は悪の華 ©著者:CROSS

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