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19章:〜結束と一人芝居〜
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本二冊は重ねてテーブルの隅に置き、怪文書とリーフを真ん中に置いた。三人がそれらを真剣に見る。
『なるほどな』
キラが呟く。
『俺は殺されるって事だったのか』
トッシュが、呟くとザムが
『いや、お前だけじゃない、多分、俺ら全員かも』
と言った。
『私もそんな気がする。って言うか、私達だけじゃない気がするんだ』
と言うとザムが
『ミュウに知らせ無くていいのか?』
と私の顔を見る。
『うん、あの子あの性格だし、神崎さんきっとまた、ミュウのバイト先に現れると思うから』
と言うとキラも
『まず、ミュウじゃ芝居は無理だな』
と言った。
『しかし、こんなの良く分かったな』
ザムが感心する。
『雑誌記者の人達なのよ。見せてすぐに怪文書って気づいて』
『さすがだな』
『お待たせしました』
珈琲が運ばれて来た。
『その本なに?』
重ねて置いた二冊の本に、キラが目をやる。
『あ、この前の、多重人格について載ってる』
私はしおりを挟んだページを開けた。
『多重人格?』
ザムが聞いたので、ジキル&ハイドの本を渡す。
『あ、これか』
そうザムが言うと、キラが私達で話していた事を二人に告げる。トッシュは触りの理解はしていたが、ザムには初めての事だった。
『神崎さん、記憶が全く無くなっちゃうわけじゃないんだよね?』
入門書を覗いていたトッシュが言った。
『多分、少なくとも、もう一人の存在はしっかり認識してるんだし……』
キラは、もう一度、怪文書の解読リーフを見ると
『2月2日、あと3ヶ月半か……ん?ちょっと待った。期日ってあるじゃん、期日ってその日だけって意味じゃなくなね?例えば、締め切り期日とか、言うじゃん』
そう言って、私達の顔を見る。
その解釈アリかも。つまり、この日迄に完了させる………
私は、神崎が私にだけ話した、あの、抹消の話しをする事にした。もう、神崎の世界に惑わされて居るのは止めた。
『あのね、実は口止めされてたんだけどね………』
そう言って話すと、ザムが
『記憶の抹消なんて、有り得ねぇ……神崎さん、多分普通の状態じゃない』
と言った。
キラが里美が話した事をザムに説明する。
『過去の栄光か……』
ザムが呟く。
『本当に栄光だったのかな?』
私も呟いた。
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