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17章:〜怪文書〜
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とにかく大変な事になった。神崎が里美の自宅を探ってる。きっと住所は英里子から聞いて知ってる筈だ。しかし、夕方の時間帯なら里美は出勤してるから、あのメゾネットの前に里美の車は無い。でも、あのメゾネットは割と広い道路に面してるので、車が在れば直ぐに判る!
どうしよう。
と言って、それを伝える為に店に電話をする訳にもいかない。他のスタッフが出た場合、里美を呼び出すのは不自然だ。それに、電話はカウンターの中とマネージャールーム。里美が直接電話を受ける事は、まず考え難い。
キッチンに目をやる。誰も居ない。差し詰め父は入浴中。母は……ん?和室で母の笑い声。テレビを観てるらしい。
チャンスだ!
私はキラの家にダイヤルした。
♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪…………
何とかキラが出ます様に…………
〔はい、南雲です〕
ヤッタ!キラだ!
『キラ?私、わかる?』
〔あぁ、りぃか。どうしたこんな時間に?〕
『緊急事態。あのね、里美さんに、メゾネットの前に車を停めないでって伝えたいの!どうしたらいい?』
〔ん?何の事だ?りぃ、少し落ち着いて話せよ〕
そりゃそうだ。いきなりこんな話をしても、理解を得られる訳無い。
私は、父の居るであろう浴室と、テレビを観て笑ってる母の様子を伺いながら、手短かに話した。
〔……わかった。んじゃ俺が店に行ってみる〕
『お願い、私今から家を出るのは無理なのよ』
〔うん、俺んちは特に何も言わないから大丈夫だ。とにかく、あの道路に面した駐車帯に車を入れなきゃ良いんだな。確かに、あそこに車があったら一発で判っちまうな〕
『うん、宜しくお願い……あ、ゴメン、母が来たから切る!』
そう言うと、慌てて受話器を置いた。
何を観て、そんな笑い転げていたのか、母はまだ笑いながら和室から出て来た。
『あら?まだ電話してたの?』
『うん、今終わった。何を観てるの?』
そう言いながら、玄関の傍の和室を覗く。テレビにはお祭りの時に来ていた、あの二人組みが出てる。
ふと思った。
あの日、もし神崎の話を断って、みんなの所に戻り、この二人組みのトークショーを観ていたら、事態は変わってたんだろうか?
もし、ゴミを捨てに行かなかったなら………
いや、とは言っても、仮に違う流れであっても、きっと神崎とは繋がる事になった。その為に、神崎は来たのだから。
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