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17章:〜怪文書〜
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結局、昼間寝飛ばして夜を迎えた私は、そうそう直ぐには寝付けずに、本棚にあるクリスマスキャロルをパラパラとめくった。そろそろ、12月に入る。
引き出しから五線紙を取り出すと、メモ書きの様にして、適当にアレンジ譜を書いた。手が小さく、ろくな技術も無い癖に、こう言う事は好きだった。短い曲の簡単なアレンジなら、楽器は要らない。
と、部屋を誰かがノックする。
『りえ、深雪ちゃんから電話』
母だ。時計を見ると、もう10時を回ってる。
『はぁい、今行く〜』
そう言って、机のスタンドの明かりを消すと、ドアを開けた。
『あの子、相変わらず礼儀正しいね、ちゃんと〔夜分お休みの所申し訳ありません〕って』
当たり前だ。もう夜10時を回ってるのだから。
下に行く。玄関の所の受話器を取る。
『ミュウ?どうしたん?』
〔ごめんね、遅くに。寝てた?私今バイトから帰って来てさ〕
最近、ミュウは近所にできたコンビニでバイトを始めた。新しいアンプが欲しいそうな。ミュウは一人っ子で、大抵のモノは親に与えられていたが、さすがにこうしたモノ迄は、無理だったらしい。
『そっかお疲れ』
〔うん、でね、夕方バイト先に神崎さん来たのよ。ビックリしちゃってさ〕
なんだって?!
〔神崎さんも、まさか私がバイトしてるなんて思わなかったみたいで、ビックリしてた〕
違う!ちゃんとリサーチ済みだ!
『神崎さん、なんでこっちの方に来たの?』
近所のコンビニ。私達の住んでる場所は、市街地から結構離れてる。
〔あのね、知り合いの家を探してるって言ってた。でも、見つからないから帰るって。トイレ入って、珈琲とブリトー買って。で、ブリトーを温めてる時に、来月の三週目の日曜日に、ホームパーティーをするから来ないかって〕
知り合いの家?!
里美さんち?!
しかし、今これをミュウに言うのはマズイ。恐らく神崎は、またミュウの所に来る。この♀に何も知らない振りをさせるのは無理だ。
『そうなんだ。神崎さん、あちこちに知り合い居るんだね』
〔占い関係じゃないのかな?〕
『そうかもね、あ、ミュウあんた、あれから観て貰ったの?』
するとミュウは急に声色を変えて
〔あの話はもういいの!〕
と言った。挙げ句
〔じゃ、話はそれだけ!お休み!〕
切れた。
どうやら私は地雷を踏んだらしい。
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