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16章:〜欲情と神格化〜
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神崎は、テーブルの伝票を持つとレジに向かった。キラもすぐ後に着いて行く。
『2800円です』
里美がそう言うと、神崎が五千円札を出す。キラも慌てて二千円を置く。
『あ、今夜は私に出させて下さい』
そう神崎が言ったが、キラも譲らなかった。
『あの、個別会計にして下さい』
さすがにバイトの身、ご馳走する迄はできないが、自分の分は自分で払いたいのだ。
里美は二人の顔を見比べていたが、更に神崎が
『これで纏めて取って下さい』
と五千円札を突き出したので、里美はそれを受け取り、お釣りを神崎に渡した。
その時もやはり、里美は何かに怯えてる様な表情だった。キラも多分気づいたに違いない。
『俺、一応バイトしてますから、自分の分は自分で払わせて下さい』
そう言うと神崎はキラの差し出した二枚の千円札の内の一枚を受け取って
『じゃ、遠慮無く』と。
『いえ、ちゃんと払います』
そう言うキラに
『生憎、小銭が無くて……』
と言ってから、五百円札と百円硬貨を見つけた様で、キラからもう一枚の千円札を受け取ってお釣りを渡した。
その間、里美が私に声を掛けて来ていた。帰りのタクシーを喚ぶのか喚ばないのか、の事。
『あ、今夜は適当に帰りますから大丈夫です』
そう言って断った。
店を出る。
『もし良かったら、近く迄送りますよ』
神崎の申し出を丁重に断ると、神崎は車に乗り込む。
すると窓越しにキラが聞いた。
『神崎さん、これから自宅に帰るんですか?』
すると神崎は
『うん、もう今日はこんな時間だし、家に帰ります』
そう言った。そして付け加える様に
『そうだ、今度私の占いの館で、ホームパーティーをしようかと思ってるんですよ。占い関係で懇意にしてる皆さんをお招きしてね。知り合いが店をやっていて、今度ケータリングを始めるので、是非試してみたいとも言ってるんです』
するとキラが笑顔で
『へぇ〜すごいなぁ!もし決まったら、是非声を掛けて下さい!みんなでお邪魔します』
と言って私を見たので、私も
『楽しみぃ〜』
と言ってはみたが、正直トラップでは無いか、と思いたい心境だった。
『じゃ……』
そう言って神崎は車を発進させ、確かに方角としたら、神崎の住む方向に消えた。
『りぃ、これからどうする?』
キラに、私は見透かされている?
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