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15章:〜味方は誰?〜
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テーブルに戻ると、里美がタイミング良くオードブルとスープを運んでくれた。
『一緒でごめんなさい』
そう里美は言ったが、二人はもうサラダを食べている。
『ありがとう、何でも良いです、お腹空いちゃったから』
と私は言うと、早速オードブルから取り掛かりながら、スープを飲む。焦がし玉葱のブイヨンのスープは大好きだった。
『今、キラ君とライヴの話しをしてましてね』
キラ、そんな話しをしてたんだ。
『今度ライヴハウスが新しく出来るそうですね』
今の神崎には、あの神崎の様な陰湿さは微塵も感じられない。極普通の爽やか系の青年だ。
『ええ、でもまだ検討中で』
と私が言うと
『いや、もう他の3人は出るつもりらしい。だから、神崎さんにも是非見に来て貰いたいと思って』
と言うキラを見ると、キラは何か意図する所がある様なニュアンスだ。
キラは、神崎の仲間じゃないのか?
『そうね、他の3人がそう言ってるなら、やってみるのも良いかも!』
そう言ってみた。
やがて、私にはサラダとメインが、二人にはメインが運ばれて来た。
『里美さん、今日はラスト迄なんですか?』
と聞くと
『ええ、今日明日はラスト迄なの』
そう言いながら、チラッと神崎を見る。その瞬間の里美の様子を、私もキラも見逃さなかった。里美のその視線は、決して友好的では無く、むしろ、酷く怯えた様な表情だったのだ。その瞬間、私もキラも何かある、と言う事はすぐに察しが着いた。
私は、真也の言葉を思い出した。
里美は恐らく、真也と同じ事に気づいて居るのかも知れない。
スイッチの切り替わる【二面性】
今の神崎にそれを言った処で、きっとまた、人間には二面性があって、もう一人の自分は鏡の中に存在する。
そう言って話は終わりになる。
両方の神崎共、同じ事を話すが、でも、今の神崎では無く、もう一人の神崎の方が、怖い位に具体的で現実味を帯びている。
正に、今すぐにでも何かの行動に出るのでは無いか?
そんな緊迫感がヒシと伝わって来る。
初めはこの神崎に触れ、戸惑いを感じて居たが、今は違う。あの神崎には目的がある。
そう、次元の掟に従った、一人とする為の行為。それに今、私は巻き込まれ様としているのかも知れない。
そして、目の前のキラは一体何を目的にして居るのだろうか。
いや、今は英里子と神崎だ。
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鏡からの使者 ©著者:Jude(ユダ)
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