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15章:〜味方は誰?〜
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『里美さん、鏡で怪我しましたよね?』
すると里美は
『あ、あれは私がモップを』
とそこ迄言い掛けた時、カウンターからベルの音が聞こえて来た。
『すみません、今英里子さん居なくて、アキちゃんは休みだし』
そう言うとそそくさと行ってしまった。
『英里子さん、ずっと居ないの?』
キラの顔を見る。
『いや、ついさっき迄はちゃんと居たんだけどな』
そう言うと、キラがふと立ち上がり
『ちょっと俺駐車場を見て来る!』
と言ってドアに向かった。
私は腕時計に目を落とす。もうそろそろ支度に取り掛からねばならない。そう思いながらキラを待つ。間もなく戻って来たキラが言った。
『やっぱり!』
『ん?どうしたの?』
『神崎さんが来てる!』
『嘘………』
『間違い無い、神崎さんの車が在った』
そう言われ思わず店内を見回したが、やはり神崎の姿は無い。
『あ、マネージャールーム!』
そう、そこは一般の従業員の立ち入れない場所。
『やっぱりあの二人、繋がりがあったんだ!』
キラの言葉に、背筋が凍る。
『もしかしたら、神崎さんしらばっくれて店に来るかも知れない。多分、英里子さんから話しは行ってると思うし、俺が一人で来た事自体、今迄無かった事だからね』
『何の為に?』
『勿論、俺らの様子を探る為に』
段々何が何だか判らなくなって来てる。結局、一体誰が味方で誰が敵なんだ?
今のキラには陰りを感じない。でも、これ迄のキラの話しには、不可解さが残る。
『とにかく、りぃは何時も通りにして』
『うん、分かった、じゃ、支度して来る』
私は席を立って更衣室に向かった。
更衣室、相変わらずドレッサーは無かった。私が姿見で化粧をしてると、奥側の、元々はロッカーの在った壁の向こうから、何かの話し声が聞こえる。
そうだった。この壁の向こう側はマネージャールームだった。
私は壁に近づき耳を当てる。すると壁の向こう側からは、話し声と言うよりも、喘ぎ声の様な声がする。
一体何をしてるんだろう。
と、更衣室のドアがノックされた。
ギョッとして私は何事も無かったかの様に、姿見の前に戻る。
『失礼しまーす』
姿見には里美の姿が映し出された。
『あ、珈琲下げちゃいましたけど』
そう里美に言われ
『ごめんなさい、ありがとう』
と言って話しを続けた。
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