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14章:〜疑惑〜 (2/11)

 菊屋楽器。とにかくご盛況。とは言っても、本来は楽器屋なのだから、楽器を売ってなんぼの世界。ただ、人口密度が高いだけでは、商売にもならないのだが………

『スタジオはご予約頂かないと』

『金払うっていってんだろ!』

『ええ、勿論それは分かります、でも、空きが無いのです』

『じゃ、何時なら空く?』

『そうですねぇ、一番早い所で来週の土曜日ですねぇ』

『それじゃまにあわねぇんだよ!だから今日来た』

『そうおっしゃられましても……』

最近良く遭遇するこの場面。予約無しで突然やって来る、思い付き野郎達。

確かに、音楽はインスピレーションだから、思い付いたその時に、作り上げてしまいたくなるのは解る。

『一応、こちらにメンバー皆様のお名前と、代表者様のご連絡先を』

とスタッフが紙を差し出すが、結局、こうした客はふて腐れて帰って行く。

『どうする?メシでも行くか?』

スコアブックを物色してたザムが、最近発刊されたエリック・サティの曲集を見ていた私の所にやって来た。ずっと弾きたかったのだが、なかなか楽譜が出回らなかった。

『あ、行く行く〜』

私のすぐ後ろで、保育者向けの月刊本を見ていたミュウがそう言うと、私に振り返り

『あ、りぃ忙しい?』

と聞いた。

確かに私は暇では無かったが、ザムに迎えに来て貰ってたので足が無い。タクシー、とも考えたが、実は妹の頼まれ事を、まだ解決してなかった。

『うん、大丈夫』

そう言い、私はサティの曲集を購入する為にレジに向かった。

『1500円です』

結構高い!(勿論今では安い)

サティの曲は、もう中学生の頃からテレビ等で耳にしていて、ずっと気になって、テレビ局に迄問い合わせをしたのだが、著作権の関係で手に入れるのは無理だと言われてた。

でも、やっと最近、こうして一般に売られる様になって来た。

因みにサティはあのピカソと懇意で、楽譜にはピカソの言葉も書き込まれてる。

その表現の記載もちょっと変わっていて、〜が〜する様に、とか、〜の様な感じで、とか。

しかし、一番特徴的なのは、小節線が無いこと!

小節線が無いと言う事で、何分の何拍子、と言う枠組みも無い。ただ、ト音記号の横に、シャープやらフラットやらが適当に書かれてるだけ。

これで演奏出来るのか?

と疑いたくなる。
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鏡からの使者 ©著者:Jude(ユダ)

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