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13章:〜予感〜
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『辞めよう』
私が席を立とうとすると、キラがそう言った。
『どうして?』
あと二日、昨日そう聞いてる私は焦った。何故なら抹消について話せるのは、今の神崎だけなのだ。
『今、神崎さんのドッペルゲンガーがこの近くに居る。もし、神崎さんに来て貰った時に遭遇してしまったら、大変な事になるかも知れない』
それは一理ある。でも、神崎が気づかなければ良いのだ。
『キラ、私は大丈夫だと思う。それに………』
話して良いだろうか?いや、抹消の件についてでは無いのだし、構わない、
『神崎さん、明日入れ代わるって言ってた』
『入れ代わる?』
キラが意味を解せないのは当然だ。
『昨日私が会った神崎さんは、お祭りの時や、この前みんなでお店に来てくれた時の神崎さんじゃなかったの』
やはり、まだキラには飲み込めてない。
『いつもの神崎さんは今、鏡の中に居るって言ってたのよね。でも、後二日で交代するって』
それでもキラには飲み込め無い様だった。
『神崎さん、つか、神崎さん達はどうやら鏡の世界とこの次元を、自由に行き来してるみたいなのよ』
『それで、今の神崎さんは、いつもの神崎さんじゃない、そう言う事なのか。でも、本当にそんな事ってあるんだろうか?』
私は、神崎の様子を細かく説明した。
『利き手が違ってた?』
『うん、私と同じだった』
キラは暫く考えてから言った。
『本当に鏡の住人って事なのかな?』
『どう言う事?』
そう聞いたが、キラはその事には答えずに言った。
『神崎さんの都合だけ聞いて来てくれない?例えば、会うのは後でりぃのバイト先でも良いし。やっぱり今はまずい』
確かに、神崎がウロウロしてる。何故だろう。
『うん、わかった』
と言う事で、私は店の入り口にあるピンクの電話に向かった。
名刺を確認し、受話器をあげる。
♪〜♪〜♪〜♪〜♪………
神崎は電話に出ない。それでもしつこく鳴らしてると
〔転送します〕
と言うガイダンスが流れた。
♪〜♪〜♪〜♪〜♪
〔はい、神崎です〕
神崎が出た!
『神崎さん、わかりますか?桜木です、桜木りえです』
〔………〕
『あの、夕べご一緒した』
〔………〕
『あの神崎さんですよね?占い師の……この前、みんなと一緒に私の店に』
〔あ、りぃちゃんだったんだ!〕
やっと話が通じた。
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鏡からの使者 ©著者:Jude(ユダ)
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