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13章:〜予感〜
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私とキラが解せないで居ると、神崎は一口珈琲を飲んだ。
『結局、もう一人の片割れが鏡の世界に行ったきっかけが、私自身だったからです。私と片割れが遭遇すると、どうやらそこに時空の歪みが出来る様で、奴はきっとそれが怖いのかも知れません。私は、夢の中、鏡の世界では奴と遭遇しますが、この次元で遭遇したのは、たった一度、自宅で入れ代わった時だけです』
つまり、私は昨日神崎とちゃんと会っていたのだ。ただ、あと二日、と不可解な事を言って居たが、今はもうこうしていつもの神崎と入れ代わってるじゃないか?
でも、最初私に鏡の住人について神崎が語ったのは、確かドッペルゲンガーがそれだと言ってた様に記憶してる。
でも、神崎の今の話だと、ドッペルゲンガーと鏡の住人は別と言う事になる。挙げ句、キラ迄そんな事を言い出してる。
『ね、神崎さん、最初に鏡の住人の話をしてくれた時に、ドッペルゲンガーがその住人だと言ってませんでした?』
神崎は少し考えてからこう言った。
『そう説明しましたよね?確かに鏡の住人は、最初の内は単なるドッペルゲンガーなんです。でも、この次元を知る内に、それは他人との関わりを持たないただのドッペルゲンガーでは無く、ちゃんとした思考力も知恵も、全てを同じ様に兼備えた、人格者となります。そして、その新たな人格者に、ドッペルゲンガーが発生する事もあるのです』
『じゃ、つまり、この次元の自分と、鏡の中の自分、それぞれドッペルゲンガーが居るとしたら、私は四人?』
『ま、滅多にそんな事にはなりませんよ。それに、この次元には二人の存在が在ってはいけないんです』
キラは暫く黙ってやり取りを聞いていたが、重々しい口調で聞いた。
『神崎さん、鏡が割れたって言ったじゃないですか?それって何か意味あるんですか?』
すると、神崎は少し険しい表情になった。
『多分、キラ君の鏡の部屋が、もう無くなってしまったのかも』
『……………』
つまりは還る場所が無い?
『でも、この次元に二人居ちゃいけないんですよね?二人は存在しないって事ですよね?じゃ、俺ってどうなるんですか?鏡の世界があるから、入れ代わる事で一人をキープ出来る。でも俺の場合、入れ代わったとしても、もうこの次元にしか居られないって事じゃないですか?』
つまりは、抹消………
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鏡からの使者 ©著者:Jude(ユダ)
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