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11章:〜抹消と死〜
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家に帰ると、もうすぐ日付けが変わりそうだった。取り敢えずシャワーを浴びようと2階に着替えを取りに行くと、妹が待ち構えて居たかの様に、部屋から顔を出した。
『お姉お帰り、ちょっと……』
なによ、こっちは疲れてるのに………
そう思いながら妹の部屋に入る。
『ちょっとこれ、解いてみて』
妹は数学と格闘中だった。
私は傍にあったメモ用紙に、ただ数字を書き写し、適当に解いた。
『おぉ!なるほど!じゃ、こっち』
妹はまた、違うモノを差し出す。仕方なく作業的に数字と記号を並べる。
『うんうん、なんだそうすれば良かったのか』
妹は私のメモをノートに移すとまた
『あとこれとこれ、それとこっちのページのこれ。ここ迄が宿題なの』
ん?ちょっと待て?今なんて言った?
『あんた、今なんだって?』
『ん?だから、宿題がここ迄って………』
冗談じゃない!私に宿題をやらせてたのか?!
『あんた、宿題をヒトにさせてどうすんの!私シャワー浴びる、今日はもう疲れた!』
『あ、ちょっとあと英語〜』
しかし、私は完全無視。もう今日と言う今日は、0.1㌘の脳みそも働かせたく無かった。
部屋に行き、着替えを持って、そのまま浴室へ。生まれたまんまの姿になり、と言っても決して生まれたままとはいかないが、浴室に入りシャワーのコックを捻る。
椅子に座って頭からシャワーを浴びながら、暫くただボーッとしていた。そして、私の目の前の壁には、一枚の鏡が張り付いている
小松酒店 TEL 0284 - ×× - ××××
鏡はすっかり曇ってて、確認できるのは少し掠れた、この金色の文字だけ。近所の酒屋が数年前に配ったのだが、以来何かと結構役に立ってくれてる。
私は手に石鹸を少し塗り、曇った鏡を擦ると、それをシャワーで流した。すると、曇りは綺麗に取れ、表面の濡れた鏡に歪んだ私の顔が映る。頭皮をマッサージしながら髪を濡らすと、一度シャワーを止め、お気に入りのシャンプーを長い髪に万遍無く絡めると、一気にゴシゴシと洗う。そして、シャワーで流し、トリートメントをして終了。
さっき迄ゴチャゴチャだった頭の中身迄、スッキリした様な感覚になった。髪をバレッタでアップにし、顔に洗顔フォームを塗る。そして冷たい水でジャブジャブ洗う。そしてつい鏡を覗く。鏡には、前髪を上げ眉剥き出しの私……あれ?
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鏡からの使者 ©著者:Jude(ユダ)
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