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10章:〜割れた鏡〜 (11/12)

『神崎さん、どうかしましたか?具合でも?』

すると神崎は急に作り笑顔になって

『あ、いや何でも無いです。すみません、少しぼんやりしちゃってまして、失礼しました』

そう言うと、少し焦り気味に肉を切り、口に入れる。

『美味しいですねぇ』

そう言ったが、やはり様子はおかしかった。

やっとキラも徐に肉にナイフを入れる。

『キラ、どうしたの?お肉好きでしょ?』

『うん……』

キラは生返事だ。

『ね、じゃその里美さんも同じだったって事?』

ミュウが、お冷やに口を付ける。

『うん、英里子さんがそう言ってた』

私はバスケットのパンを取る。

『風水って、あのドクターナントカのヤツだろ?』

とザムもお冷やを飲む。

『今、流行ってるみたいだよな』

トッシュは、付け合わせのジャガ芋を、フォークで崩してる。

『そうそう、香港はね何でも風水で決めるって聞いたよ。大企業迄風水で、位置や場所を決めるんだって』

ミュウは意外と雑学が豊富。

私は占いも特に関心ないし、方位だの何だのも良く解らない。


でも、その風水を用いた所で、結局同じ事が起こったのだ。

ミュウもキラの様子が気になるのか、料理を口に運びながら、キラを見つめてる。

シルバーを皿の両端に置き、バスケットのパンに手を伸ばしながら

『キラ、どうしたのよ?あんたがステーキにしたいって言ったからみんなでそうしたんじゃん。もっと美味しそうな顔してよ、美味しいんだから』

しかしキラはやはり

『うん』

と一言。

その様子に、ザムもトッシュも顔を見合わせる。

そこに、英里子がやって来た。

『お食事中本当ごめんなさい』

とみんなに言うと

『りぃちゃん、本当に怪我してない?大丈夫?』

と聞いた。

『はい、大丈夫です』

と私が言うこと

『じゃ、やっぱりアキちゃんかなぁ』

と言う。

『どうしたんですか?』

と私が聞くと、

『ん、ちょっと鏡の破片に………あ、ごめんなさい、お食事中にする話じゃ無かったわ』

と言うと

『今お冷やお持ちしますね』

と言ってカウンターに向かった。

英里子が何を聞きたかったのかは勿論すぐに判ったが、しかし私は無傷だし、恐らく英里子も無傷な筈。

でも、その事を考えるとまた、整理が着かなくなりそうだった。
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鏡からの使者 ©著者:Jude(ユダ)

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