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9章:〜リボンのお嬢さん〜 (9/10)

私はマスターと松永に、一昨日からの体験を話してみた。

『じゃ、その占い師って、自分自身をドッペルゲンガーだと思ってるって事?』

松永にそう聞かれても、どうなんだろう?いや、神埼は交代した、と言っていた。

『交代したらしいんです。だから、彼はもう違うのかと』

と言うと

『でも、鏡の中に居たんでしょ?やっぱりメルヘンだぁ!』

結希は何処迄真面目なのか、良く判らない。

『しかし、僅か二日間でとんでもない体験しちゃったね』

マスターがため息をつく。

『もう何が何だか解らなくて……』

その時、カランカラン♪
と店の扉が開いた。一人の見知らぬ男が、黙って丸いテーブルに着く。

『いらっしゃいませ』

マスターが、お冷やとお絞りを男の目の前に置く。男は、テーブルにあったメニューを黙って指差した。

『畏まりました、キリマンジャロで宜しいですね』

マスターがそう確認すると、男が黙って頷く。

白いシャツに黒いジャケットを羽織ったその男、見掛けは極普通だが、ただぼんやりとしていて、何故か様子がおかしい。

結希が私を突いて、コソコソと言った。

〔あの人おかしくない?〕

〔しぃっ!〕

結局、私の話しは中断となった。松永は腕時計に目を落とすと

『そろそろ戻るかな?後でまたゆっくり続きを聞かせてね』

そう言って立ち上がり、千円札を一枚カウンターに置いた。

『あ、じゃ700円のお返しね』

そうマスターが言ったが

『いや、何時もご馳走になってるから、たまには取ってよ』

と言うと私達に

『試験頑張ってね』

と声を掛けて店を出て言った。

『ねぇ、私達もそろそろ戻らない?』

そう言えば、もう1時間以上此処に居る。

『マスター、また気まぐれで来ます』

と言うと、お互いに300円ずつカウンターに置いた。

『貰っていいの?』

そうマスターが言うと結希が

『勿論!一応お客ですから』

と言った。

『じゃ、遠慮無く。ありがとう、また気まぐれでおいで』

と言ってマスターが笑う。そして、温めたカップにサイフォンで煎れたキリマンを注ぐ。キリマンの独特な酸味が店にいっぱいに広がった。

マスターが、カップをトレンチに載せて、そのお客の前に置く。

私は、店を出ようとドアに手を掛けた。すると今迄ぼんやりしていたその男が言った。

『リボンのお嬢さん』
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鏡からの使者 ©著者:Jude(ユダ)

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