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8章:〜空き部屋〜 (8/9)

『しかし、見事に変身したな』

とザムに言われると、我ながら本当だと思ってしまう。

『全然楽譜見ないんですか?』

神崎が不思議そうに聞く。

『全部子供の頃に弾いてきた曲ばかりだし、あとは聞き齧りをアレンジしてるだけなんです』

『凄いよね、どうやって頭に詰め込む?つか、即興のアレンジって凄い』

そうキラは感心するが、実は適当。その時の気分次第。

『これでリクエストするのか……』

トッシュがリクエストカードを手にして眺めてる。

本当は、あの鏡の中に見た光りの話しをしたかったのだが、長くなりそうなので今は止めた。

みんなも居る事だし、少し休憩を早めに切り上げる事にして

『じゃ、行って来るね』

と言うと、私はまたピアノに向かう。お祭りが完全に終わったのか、ピアノの近くの入り口付近には、ただ今満席、の札が在り、何組かのお客がウェイティングシートて待っていた。

私はそのお客に軽くお辞儀をし、椅子に掛けた。

少し華やいだ雰囲気を作りたくて、ショパンの華麗なる大円舞曲からスタートし、それからお客のリクエストに応じた。そして最後に、ライヴのリクエストのWe're All Alone で締め括る。

また、テーブルに行くと、キラから『ありがとう!』と言われた。

英里子さんが近づいてきて

『お疲れ様です。次でラストだからオーダー通しますけど』

とメニューを各自に渡す。

『じゃ、私はこのリブのコースを』

と神崎が言うと結局全員でそれに決定。英里子がメニューを回収すると、私は最後のステージに入った。

石造りのホールは、本当に音が綺麗に響く。間接照明で、手元が暗いので、ピアノの譜面台の横には、ランプが燈されている。譜面を見ないので、当然譜面台は寝かせたまま。時々寝かせた譜面台に自分の顔が映る。そう、あくまでも、自分の顔。

と、お客のリクエストでアメージングレースを弾いていた時だった。ラストコーラスで半音上げてメロディーを引き出したその時、その、自分の顔が映るべき黒い譜面台に、何処かで見た男の顔が映し出されてきた。最初の内はぼんやりと、でもそれは段々ハッキリとしてくる。アメージングレースは、勝手に流れ、私はその顔に集中する。その顔がいよいよハッキリした瞬間、私は手を止めそうになった。

その男は正に薄笑いを浮かべ、真っすぐに私を見つめてるのだ。
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鏡からの使者 ©著者:Jude(ユダ)

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