ホスト,キャバ,風俗等のちょっと大人の無料ケータイ小説!PC,スマホ、ガラケー全対応!

8章:〜空き部屋〜 (2/9)

 ドッペルゲンガー。
いや、本人は結局気づかなかった。あの、鏡の住人は、暫くキラを見つめていたが、ただそれだけで、背中を向け、去って行った。河川敷のこのお祭り会場から、土手の階段をちゃんと上り、そして、土手の向こう側に姿を消した。

『何処に行ったの?』

神崎と一緒に鏡のキラが姿を消した土手を見つめながら呟く。
『さぁ……この世に出て来た以上はもう別人格です。彼がどうしたいのかは、彼にしか解りません』

『じゃ、キラと目があったら、キラは死ぬんですか?』

『いえ、何も変わりませんよ。ただ、自分が入れ代わるだけですから。最初にお話しましたよね?私は鏡からやって来たと』

本当に鏡からやって来たと言うのか?

『私はずっと鏡の奥の、暗闇の世界にいました。でもある時、時空に歪みが生じ、真っ白な世界に放り出されました。そこがこの次元だったのです』

今私は確かに、もう一人のキラを見た。鏡からやって来たキラ……

『この次元に放り出された私が深い眠りから覚めたのは、病院でした。

どうやら、こちらの世界の私は行方不明になっていたらしく、道端で倒れて居た私が発見されたのだそうです。

それから暫くして、家に帰って来たこちらの自分と、初めて遭遇し、入れ代わったのです』

そして、神埼は更に続けた。

『遭遇せずに居たら、お互いこちらの次元で、全くの別人として生活をする事もできるみたいです。でも、鏡の中のその部屋は空き部屋となり、いずれ他の住人に占領されてしまいます。

やがて年月が過ぎ、肉体が滅びた時に、その二つとなった魂は還る場所を見出だせず、この次元をずっとさ迷い続ける事になるのです』

『鏡の世界に還る?死んだら天国に行くのでは?』

『それは、まやかしの慰め事かも知れませんね』

『彼に話した方が良いですか?』

『あくまでも、彼自身の事です。例え伝えても、結局は成る様にしか成りません』

〔只今から、入賞された皆さんの表彰式を行います。入賞されたバンドのリーダーさん、のど自慢の入賞者の皆さん、いらっしゃいましたらステージにお上がり下さ〜い〕

こんな事あったんだ。

キラは相変わらず女の子に囲まれていたが、ミュウが気付きキラに声を掛けている。

私はただぼんやりと、その光景を見つめていた。

もう一人のキラ。本当のキラって?

『どちらも本当の彼です』
47 /406

※この小説を友だちに教える⇒メール

いいね LINEで送る

鏡からの使者 ©著者:Jude(ユダ)

夜のケータイ小説サイト「ホスラブ小説」
PC,スマホ、ガラケーで全ての機能が利用できます!

Copyright © hostlove.com All Rights Reserved.