ホスト,キャバ,風俗等のちょっと大人の無料ケータイ小説!PC,スマホ、ガラケー全対応!

6章:〜合わせ鏡とドッペルゲンガー〜 (3/7)

イジケてる。さっき迄の自信は何処に言ったのやら。

元々、まともなのかどうなのかも怪しいしが、イジケると言う事は、神崎にとっては真剣な事らしい。乗り掛かった船。話しだけでも聞いてみるか。

『そうですか?話しを聞いて頂けますか?』

神崎はまた、笑顔になった。この男、結構単純なのかも知れない。

『私はそう複雑な人間ではありませんよ。でも、友達は殆どと言える程居ません。みんな、私のこの奇妙な体質を、煙たがったり不気味がったり………』

それは理解出来る。私もそうだった。が、しかし私の場合、見える、聞こえる、感じる以外何も無い。しかもある程度の年齢迄、他の人も同じだとばかり思っていたから、何の意識も興味も無かった。

『気が触れてるだの、狐憑きだのって、みんな私を避けるんですよ』

お気の毒に。

『やっと理解ある方と逢えた、そんな気持ちだったのです』

私は段々神崎に同情してきた。これだけ何も言わずして私の考える事が解るとしたら、きっとそれは私に対してだけでは無く、他の人に対してだって、多かれ少なかれある筈だ。

私にも経験がある。

相手の考える事が、ふと意識に入って来る。だから、実際には何も発言してない相手が、あたかも何かを言ったかの様な錯覚に陥り、人が怖くなり人間関係を崩してしまう。

本当に言葉として、音として聞こえて来るのだ。

『ご理解の通りです。実際の声なのか、意識に語られただけの声なのか、判断が着かなくなってしまうのです』

ふと気づくと、神崎は確かに丁寧な敬語で話していたが、いつの間にか、あの勿体ぶった口調が消えていた。

『信じて頂けるかどうか……』

と神崎は珈琲を飲み干した。するとユニフォーム姿の珈琲屋が、そのタイミングを見計らって居たかの様に、デカンタを持ってやって来た。

『失礼。今日はお祭りなんで、お代わりは自由なんですよ。召し上がりますか?』

すると神崎は、少し恐縮しながら

『じゃ、せっかくですから』

と言って空のカップを差し出した。

夕べ、あれ程緊張し、謎めきを感じて居たが、それはあの場での雰囲気が、私の精神をまやかしていたのかも知れない。

同じ思いをしてきた彼に、私はもう何の抵抗も無くなっていた。寧ろ逆に、神崎の事をもっと知りたくなってきた。あのマスターとの最初の出逢いが今、フラッシュしてる。(不思議倶楽部参照)
31 /406

※この小説を友だちに教える⇒メール

いいね LINEで送る

鏡からの使者 ©著者:Jude(ユダ)

夜のケータイ小説サイト「ホスラブ小説」
PC,スマホ、ガラケーで全ての機能が利用できます!

Copyright © hostlove.com All Rights Reserved.