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3章:〜占い師〜 (2/6)

 もうすっかり暗がりになったステージ裏に、ランプを燈された小さな台が在った。

『お嬢さん、寄って行きませんか?』

目を懲らして良く見ると、半分だけランプの明かりに照らされた、満面の笑みの男の顔が在った。

何時の間に居たのだろう。

確かまだ、リハーサルをしていた明るい時間帯には居なかった筈だ。野外ステージの向こう側には、ステージを楽しむ観客と、チラホラと在る露店のおかげで随分賑やかなのに、何故かこの男の周辺だけ、まるで空気が変わってた。竹林か、雑木林にでも迷い込んだかの様に。

その、半分しか見えない笑顔は、私の体の自由を奪い、何の意志も働かせる事無く徐々に引き寄せた。

『さ、どうぞ掛けて下さい』

何故か言われたままに、椅子に掛ける。

『失礼ですが、あの世の方の存在を、貴女はご存知の様ですね。かなり、強く感じてます。だから、ちょっと寄って頂きたくて。私も同じお仲間ですから』

急にそんな事を言われても、肯定も否定も出来ないし、そもそもそうだからと言って、私の様な人間なんてザラに居る。

『それは違いますよ?貴女の様な方は、そうザラにいませんよ』

何この人………

私は背筋に冷たいモノを感じた。

私は何も言ってないのに、私の考える事がわかる?

『私が解るのは、貴女がお仲間だからですよ。残念ながら、誰でも解るわけじゃありません』

怖い!

『私は何も、危害を貴女に与えるツモりは毛頭ありませんよ。大切なお仲間なんですから』

この時、ストーカーと言う言葉を知っていたなら、真っ先にその言葉が頭を過ぎった筈だが、私はただ、恐怖感に近い戸惑いを感じながら、何とかこの場を立ち去るか、役立つ期待は出来なくても、ミュウの名前を叫びたくなった。

『お友達、どうぞ喚んで下さい。ただ、私が聞ける心の声は、貴女の声だけですけど』

男は相変わらず笑顔を絶やさず、寧ろ今迄よりももっと柔和な笑顔になった。そして私から視線を逸らせると

『あ、喚ばなくても、お友達がみえた様です』

と言った。

男から目が離せ無いまま、体だけは振り返ろうと、何とも奇妙な姿勢になると、後ろから

『り〜ぃ、どうしたん?』

と足音と共にミュウの声が聞こえてきた。

ミュウは、相変わらずのノリで、私と対峙してる男に向かって

『今晩は〜』

とにこやかに挨拶した。
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鏡からの使者 ©著者:Jude(ユダ)

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