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2章:〜暗がりの声〜 (5/5)

 いよいよ本番となった。が、その段階に来て、何とキラの態度が変わった。どうやら開き直ったらしい。

前のバンドとステージ上での交代作業をしてる最中に

『チーッス!俺の名前はキラ!これから俺のバンドの演奏を聴いて貰うんだけど、まだ始めたばっかだから、他さんと違ってボロボロだけど、この俺の熱い魂を受け取ってくれ!っておいおい、まだ、準備できねぇ〜のかぁ?これだから初心者ってのはよ、って、俺も同じだったっけ?……んじゃ、準備できる迄遊んじゃおっかな?……』

と始まった。

なかなかやるじゃない。もう観客掴んでる。他のバンドの人達も、キラのトークに引き付けられてる。通り縋りの人も立ち止まった。

私は急いで最低限のセッティングをし、ドラムに合図を送ると、ドラムがカウントを始めた。

まぁ、レベルは学芸会の合奏に限りなく近かったが、取り敢えずキラのトークと、英文科の学生だったキラの特徴を活かし、三曲とも洋楽だった事がウケたらしい。

オリジナルも、1Chorus目は、サビを英語にしたり、2Chorus目は逆にAメロBメロを英語にしてサビを日本語にしたり。とにかく、技術が無いのだから、上手く見せる工夫だけはしていた。

キラのおかげで、他のメンバーも、初ライヴにしては随分とリラックスして、最後にはアンコール迄。

しかし、トッシュ以下三人は、今演奏してしまった5曲以外何も出来ない。

『りぃ、We're All Alone 任せたよ』

ボズ・スキャッグスの代表曲のバラード。これなら、キーボードだけで何とかイケる!

私は慌てて、ストリングスとピアノを混ぜた。

キラは、練習の時あばさけてるのでは?と思う程、伴奏をしてる私迄魅了された。しかも、途中、ちょうど良いタイミングでザムとトッシュが参戦。

やれば出来るじゃん!

この瞬間の気持ちは、何時思い出してもワクワク感がフラッシュする。

結局、ミュウの出番は無かったが、会場で見ていた前夜祭の常連のバンドの人達に迄目一杯の拍手を貰った。その時、私はつい癖で、観客に向かって丁寧に一礼したら、何故かみんなも一礼してた。

そして、次のバンドと交代し、ステージの後ろの階段を降りたその時だった。

『そこのリボンのお嬢さん』

そう誰かに声を掛けられた。因みにミュウはショートカットだった。
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鏡からの使者 ©著者:Jude(ユダ)

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