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10章:〜解離〜 (2/5)

 本来ならば、もう直ぐ共通一次だった。元の同級生達はきっと必死なんだろうな。


最近、俺の周りには色んな人達が増えた。でも、その色んな人達は、俺の体を利用するだけで、実際に形は表さない。

俺は、時々コントロールの効かない自分を感じる。したく無いのにしていたり、言いたく無いのに言ってたり。

それを必死で抑えても、結局その人間が暴れ出す。勿論俺の体を利用して。

俺はただ遠くから、そんな自分の体を見つめてるだけ。ただそれだけしか出来ない。

俺が狐達を助ける事を憎む人格が居る。その人は狐を助けた俺を殺そうとする。助けた狐の数だけ、俺の体を傷付けて行く。

父さんも母さんも、俺の体が不可解な行動を取るから、目を離せないと言って、母さんは仕事を辞めた。俺が正気じゃないと思ってるんだ。

そうじゃない、正気の俺はちゃんと居る。俺は何時だって俺なんだ。でも、そんな事を話したって、相手にされないのは判ってる。だから言わない。

純には時々、その中身の俺の姿が見えるらしい。この前この部屋に来た時にも、入れ代わった俺に言った。

お前、誰だ?

以来、そいつが側に居る時には、純を部屋に入れなくなった。そいつは純を避けてるから。そいつに体を支配されてる時は、俺であっても俺じゃない。

表面的には思考も行動も、確かに俺である事には変わらないけど、そこに俺は居なくて、俺はただ、そいつが俺の体をにさせてる事を、傍観してるしか無くなるんだ。

だから、時々自分で自分が怖くて仕方ない。今度は俺に何をさせるんだろうって考えるから。

特に純には逢わせたく無い。純は中身の俺と直接向き合うから。だから、きっとその人格にとって、純は敵だと思う。

次第に俺の中に全然知らない人格が増えて行く。そして、俺の体を順番に支配して行くんだ。だから時々、自分に戻れなくなりそうになる。

それでも、俺も、俺の中のその人格達も、結局は一つの肉体を共有するしかない。

俺には、俺が判らない。

最近そう思う事が多い。

この肉体は、何をするんだろう。

純と同じ空間で一緒に過ごす事が出来なくなった。父さんや母さんとも。

門田神社にも、もう行かなくなった。

外に出るのが怖い。俺の中の俺を見抜かれそうで。部屋から出たくない。醜い俺を誰にも晒したくない。
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君の星・回想録 ©著者:Jude(ユダ)

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