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9章:〜門田神社〜
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透が居亡くなって一週間が過ぎた。今日初めて登校した。
あの日の事は何も覚えてなくて、透のクラスメイトや先生方には挨拶したけど、でも、誰が参列してくれたか、なんて全然記憶に無い。
純が覚えててくれたから、まだ助かったけどね。
クラスのみんなも、先生方も、俺をとても気遣かってくれて、辛い事あったら、何でも話してって言ってくれるけど、正直な所、何の感情も湧いて来ない。
透が居なくなったんだって実感したのは、もう誰も俺に対して間違って【透】と呼ばなくなった事。
学校の先生方も近所の人も、もう誰も間違えない。この顔は、俺だけになったんだ。そして、俺達に色々教えてくれた、佐藤先生も、これ迄は薫君って呼んでたのに、今日は沢田君だった。
透は、今何処に居るんだろう。天国って遠いって聞いたから、まだまだずっと行かなくちゃいけないんだろうな。
結局、祖母ちゃんは今だに現れてなかった。
帰り道、純が補習だったから、一人で帰る事になった。一人での下校は、高校になってからは初めてだった。
でも、自転車を漕いでると、後ろから透が追いかけて来てる様に感じる。何度か振り返ったけど、居るワケないよね。
今日、ちょっとだけ寄り道して帰るつもりなんだ。あそこの神社。透と一緒だったら、透と縁が切れちゃったかも知れないけど、一人だったら誰とも縁は切れないよね?
ずっとずっと気になってたんだ。透が話した鳥居の話し。純の言ってた門田神社に行ったら、何か解る様な気がしたんだ。
山辺小学校の隣の八幡様。その片隅にある門田神社。八幡様は大きくて、立派なお社があったけど、門田神社って貧弱な神社と言う印象しかなかった。
山辺小学校の裏には、【人間だもの】で有名な相田みつをさんのアトリエが在った。足利の老舗の和菓子屋さん虎谷の包み紙は、この人の言葉が沢山書いてある。母さんは、お菓子を買う度にコレクションしていた。母さんは、この包み紙が好きだったみたいで、お客が来る時には必ず、虎谷でお茶菓子を用意してた。
小高い切り通しを抜けると、八幡様と門田神社の在る道に出た。
俺は、八幡様に自転車毎乗り入れるて、地続きの門田神社の近くに置いた。不思議な事に、八幡様と門田神社には、何の仕切も無かった。本当に、八幡様のオマケみたいに小さな神社だった。
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君の星・回想録 ©著者:Jude(ユダ)
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