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8章:〜約束〜
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最近怖い夢を見る。今日もそうだった。
俺達の目の前には、今大きな檻があって、その中には沢山の狐達がいる。でも、鬼の様な顔をした妖怪の様な顔をした人間が、その狐をイジメてる。いや、殺してた。逃げ惑う狐たちを愉しそうに声を上げて笑い笑いながら。
やがて、狐が倒れると、深い深い穴の中に葬った。そしてその穴は、沢山の土を掛けられて、何事も無かったかのように、平にされた。
鬼の様なその人達は、狐を埋めたその場所を、みんなで何度も踏み固めて、そして満足したのか去って行った。
俺達は、その人達が居なくなると、急いでそこを掘ったんだ。もしかしたら、まだ生きてるかも知れないって思ったから。
でも、どんなにどんなに掘っても、狐の姿は何処にもなかったんだ。
不思議な事に、祖父ちゃんの法事が済んでから、狐の夢を見る様になった。透も同じ様な夢を見てる。俺が狐の夢を見た時には、透も見てる。
だから、朝起きた時に透に聞いてみる。逆に透から聞かれる事もある。
祖父ちゃんの法事が済んでから一ヶ月も経って無いのに、もう何度も。
祖母ちゃんは、相変わらず透にだけ現れてるみたいだったが、その内容を透は詳しく話さなかった。
朝、祖母ちゃんの仏壇に手を合わせ、祖母ちゃんの写真を見ても、祖母ちゃんは優しい目で、俺を見つめるだけだった。
祖母ちゃんが亡くなって、もうすぐ百箇日になる。
もう、この日が過ぎたら、いつ迄も悲しみを引きずってちゃいけないって、この前の祖父ちゃんの七回忌の時に、和尚さんに言われたんだ。
その日学校から帰ると、透は珍しく何も言わずに一人で出掛けた。俺は俺で文化祭に向けての仕事が有ったし、特に行き先も聞かなかった。透は出掛けにただ『夕飯迄には戻る』って。
今日、俺がご飯を炊く当番だったけど、透にお風呂の事も頼まれた。後で借りは返すって。
ま、俺もこれから文化祭の準備で忙しくなるし、その時には透に手伝って貰う事になるから、お互い様。
透は約束通り、夕飯になる前に家に帰って来た。何か買い物でもして来たのかと思ったけど、何の荷物も持って無かった。
部屋に入って、ジャージに着替えながら
『お風呂ありがとうな』
って言ったから
『俺が忙しい時お願い』
って言ったら、透らしくない言葉が帰って来た。
『もし、出来たらね』
どう言う事か判らなかった。
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君の星・回想録 ©著者:Jude(ユダ)
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