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3章:〜狐と仏壇〜 (11/11)

その仏壇が、俺達を怨んでる様に思えてきた。なんだか、執念で立ってるかの様に。

勿論、もう隅になってるから、ちょっと叩けばすぐに崩れるのは判ってたけど、誰にもそれが出来なかった。

4人はずっとずっと、その仏壇を見つめてたんだ。漆黒の様になったから、余計感じたのかも知れないけど、なんだか、生きてるみたいに思えて来た。

その仏壇そのものに、魂があるかの様に。

威厳が有ったんだ。

いつの間にか、空は夕焼けを省いて紺色にってた。それでも4人供、その仏壇から目が離せなかった。

やがて、空は群青色になった。
その日はずっと雲っていたから、月も星も無かったんだけど、急に風が吹いてきて、月を隠していた雲が風で流されて、半分の月が顔を出したんだ。

その月明かりが、その仏壇に当たり始めたら、仏壇は少しずつ風に削られて行った。

仏壇の上の部分が半分になると、コンさんが言った。

『オッカアが煩ぇから、俺は帰っから』

『うん、ありがとう』

俺達がお礼を言うと、

『おめぇ達も適当に切り上げて帰れや』

と言って、携行缶を持って軽トラに戻ると、エンジンを掛けて帰って行った。

やがて、風はどんどん強くなってきて、仏壇もどんどん小さく削られて行った。それでも、俺達は最後の最後まで、見届けて居たかったんだ。

そしてとうとう最後の一カケラが風で飛ばされると、俺達は無言のまま、自転車に跨がって、無言のまま漕いでいた。

 帰った時はもう、夜中の11時になっていた。勿論目茶苦茶叱られたし、次の休みは自宅謹慎が確定になったけど、何だか二人供とても爽やかな気分だった。

純には後で謝ったけど、純の叔父さんは、純を叱らなかったって。勿論、叔母さんには叱られたらしいけど。

その晩、もう扉の閉まった仏壇をもう一度開けて、蝋燭を点けて、お線香を上げた。そして二人で長い時間、手を合わせてたんだ。

その時に、祖母ちゃんの声は聞こえて来なかったんだけど、でも、祖母ちゃんの笑顔が浮かんで来た。

祖母ちゃんは喜んでくれたんだ。それだけで、俺も透も嬉しかった。

俺達は、帰宅が遅くなった事の反省でそうしてた訳じゃなかったのに、父さんと母さんにはそう思えたらしい。

その後ご飯を食べてたら、父さんが今回の事は不問にするって言った。だから、自宅謹慎の話しは無くなった。
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君の星・回想録 ©著者:Jude(ユダ)

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