ホスト,キャバ,風俗等のちょっと大人の無料ケータイ小説!PC,スマホ、ガラケー全対応!

3章:〜狐と仏壇〜 (2/11)

 祖母ちゃんが居なくなって、祖母ちゃんの居た部屋には、祖母ちゃんの祭壇が飾られた。

朝、透と二人で祖母ちゃんに手を合わせ、同じ部屋に有る仏壇にも手を合わせる。祖母ちゃんは、まだ仏壇に居ないんだって、そう父さんに聞いた。

学校に持ってく弁当は、週に二回だけになった。

母さんが休みの時だけ。祖母ちゃんの弁当、野菜ばっかり多くて、茶色くて、綺麗じゃなかったけど、また食べたい。

祖母ちゃんは家の事は何でもして、時間が有ると鍋で何かを煮てた。だから、学校から帰るといつも良い匂いがしたのに、もう何の匂いもしなくなった。

透と俺は、学校から帰ると交代で、風呂掃除をして風呂を沸かすか、お米を研いでご飯を炊くか、をする事になった。

今迄全部祖母ちゃんがしてくれてた事。

母さんは夜洗濯機を掛けて、朝干してる。

そう言えば、お風呂の鏡ってこんなに汚れてたっけ?

ご飯のおかずは母さんが作るけど、近くの大きな店で買ってくる事も多かった。

この前も野菜の煮たのを買って来てたけど、祖母ちゃんの煮た野菜の方が全然美味しい。

そう言えば祖母ちゃんに、あの仏壇の事言ってなかったけど、きっともう知ってるんだろうな。

 富田の家は、祖母ちゃんの事が落ち着く迄、工事は保留になった。せめてもう一度行きたいと思ってたけど、俺も透もどちらからもその話しはしなかった。

怖かったんだ。

富田の家に祖母ちゃんが居る様な気がして。

でも、もし今遭ったりしたらきっと、悲しくて悲しくて、仕方無くなっちゃう気がして。

きっと透も同じ気持ちなんだ。だから、透も言わない。

母さんは暫く仕事を休んだ。

家には祖母ちゃんにお線香を上げる為に、時々お客が来た。

俺の町には変わった習慣があって、香典が二種類分かれる。

【新生活運動】と言って、無駄を省く為に、千円位を包んでくれる人と、そうじゃない人。

だから、お返しも二種類あった。

祖母ちゃんは決して義理を欠かさない人だった。

何か一つ貰うと二つ返す人だった。一度聞いたんだ。

〔どうして二つ返すの?〕って。
そしたら、祖母ちゃんこう言ってた。

〔一つは貰った物に対してのお返し。もう一つは、その人の気持ちに対してのお返し〕って。

俺達は、祖母ちゃんから色々な事を教えて貰った。でもその時は聞き流してたかも。皮肉だね、今思い出す。
17 /77

※この小説を友だちに教える⇒メール

いいね LINEで送る

君の星・回想録 ©著者:Jude(ユダ)

夜のケータイ小説サイト「ホスラブ小説」
PC,スマホ、ガラケーで全ての機能が利用できます!

Copyright © hostlove.com All Rights Reserved.