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2章:〜祖母ちゃんの日〜
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祖母ちゃんは、俺達が駆け付けて1時間後に息を引き取った。
日光の伯母さんは間に合わなかった。
伯母さんはずっと祖母ちゃんに《ごめんなさい》と言い続けて泣いていた。
父さんも泣いてた。勿論母さんも。遺体は一度地下の霊安室に安置される事になった。
俺達は初めて、霊安室に入った。祖父ちゃんが死んだ時には、子供が行く所じゃない、と言われて、純の叔母さんと一緒に居たから。
霊安室、静かなのに、静かじゃなかった。苦しみの内に亡くなった人達のその呻き声が、沢山聞こえて来た。
そして、まだ亡くなったばかりの人が、自分が亡くなった事に気づかずに、歩き続けてる。
何度も何度も同じ場所を。
でも、祖母ちゃんはそのままだった。祖母ちゃんはただ静かに眠ってる。
俺も透も悲しかったけど、その時涙が出なかった。
俺達は壁の前で、泣いてる両親と伯母さんと、伯母さんを気遣う伯父さんの姿を見ていた。
『祖母ちゃん逝っちゃったね』
そう俺が言うと
『うん、逝っちゃたね』
そう透が返した。
亡くなったのがお昼頃だったから、その日の内に祖母ちゃんを家に連れて来た。
そして、伯母さんと父さんが、祖母ちゃんの隣に寝たけど、時々起き出して、祖母ちゃんの枕元の水を取り替えていた。
その翌日がお通夜になった。祖母ちゃんは白木の棺に納められ、沢山の花で飾られた。
母さんは、祖母ちゃんが一番大切にしていた着物を入れた。
後から来た日光の従兄弟達と俺達は、祖母ちゃんに手紙を書いて入れた。
祖母ちゃんは、何時も優しかった。母さんにも優しかった。でも小さい頃は、悪戯をしては良く叱られた。
祖父ちゃんが死んだ時、祖母ちゃんは一番周りに気遣いしてた。本当は祖母ちゃんが一番悲しかったのに。
翌日、晴天だった。きっと祖母ちゃんは納得してあの世に旅立ったんだ。
火葬場の座敷で、ご飯を食べる。
食べる事も供養の内なんだって初めて知った。その席には純の一家も居た。
純も俺達も、ご飯が済むと祖母ちゃんの入った窯の前に居た。
『全然気づかなかった』
透が呟く。
『うん、全然気づかなかった』
俺も言った。
『もしかして、夢の中のあのお爺さんかな』
と言ってみた。
『俺も今考えてた』
と透が言う。
『お爺さん?』
純に説明した。そしたら純も
『そうかもね』
そう言った。
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