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2章:〜祖母ちゃんの日〜 (8/8)

 祖母ちゃんは、俺達が駆け付けて1時間後に息を引き取った。

日光の伯母さんは間に合わなかった。

伯母さんはずっと祖母ちゃんに《ごめんなさい》と言い続けて泣いていた。

父さんも泣いてた。勿論母さんも。遺体は一度地下の霊安室に安置される事になった。

俺達は初めて、霊安室に入った。祖父ちゃんが死んだ時には、子供が行く所じゃない、と言われて、純の叔母さんと一緒に居たから。

霊安室、静かなのに、静かじゃなかった。苦しみの内に亡くなった人達のその呻き声が、沢山聞こえて来た。

そして、まだ亡くなったばかりの人が、自分が亡くなった事に気づかずに、歩き続けてる。

何度も何度も同じ場所を。

でも、祖母ちゃんはそのままだった。祖母ちゃんはただ静かに眠ってる。

俺も透も悲しかったけど、その時涙が出なかった。

俺達は壁の前で、泣いてる両親と伯母さんと、伯母さんを気遣う伯父さんの姿を見ていた。

『祖母ちゃん逝っちゃったね』

そう俺が言うと

『うん、逝っちゃたね』

そう透が返した。


 亡くなったのがお昼頃だったから、その日の内に祖母ちゃんを家に連れて来た。

そして、伯母さんと父さんが、祖母ちゃんの隣に寝たけど、時々起き出して、祖母ちゃんの枕元の水を取り替えていた。

その翌日がお通夜になった。祖母ちゃんは白木の棺に納められ、沢山の花で飾られた。

母さんは、祖母ちゃんが一番大切にしていた着物を入れた。

後から来た日光の従兄弟達と俺達は、祖母ちゃんに手紙を書いて入れた。

祖母ちゃんは、何時も優しかった。母さんにも優しかった。でも小さい頃は、悪戯をしては良く叱られた。

祖父ちゃんが死んだ時、祖母ちゃんは一番周りに気遣いしてた。本当は祖母ちゃんが一番悲しかったのに。

翌日、晴天だった。きっと祖母ちゃんは納得してあの世に旅立ったんだ。

火葬場の座敷で、ご飯を食べる。

食べる事も供養の内なんだって初めて知った。その席には純の一家も居た。

純も俺達も、ご飯が済むと祖母ちゃんの入った窯の前に居た。

『全然気づかなかった』

透が呟く。

『うん、全然気づかなかった』
俺も言った。

『もしかして、夢の中のあのお爺さんかな』

と言ってみた。

『俺も今考えてた』

と透が言う。

『お爺さん?』

純に説明した。そしたら純も

『そうかもね』

そう言った。
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君の星・回想録 ©著者:Jude(ユダ)

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