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1章:〜引っ越し!〜
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明日引っ越し。
天気も良いみたい。
この部屋とももうサヨナラ。
片付けてたら、キャンプの写真出てきた。あの時みんなで妖怪と遭ったんだっけ。
あれ、本当に河童だったのかな?真哉はそう言ってたけど、でも、大人は誰も信じなかった。
今夜、透は頭が痛いって言って先に寝てる。いくらか熱があるみたい。
でも、母さんも相変わらずだよな。透が熱を出すと、俺も熱があると思い込む。
いくら一緒に生まれたからって、何でも一緒にしなくて良いのに。
それにしても、祖母ちゃんなんで泣いてたんだろう。引っ越しするのが嫌だったのかな。
ご飯もあんまり食べなかったし、お茶も部屋に持ってった。
何だか明日引っ越すのに、透は熱出すし、祖母ちゃんは祖母ちゃんだし、変な夜。
取り敢えず部屋の中の荷物は整理できたけど、物置の中はどうするんだろう。父さんは自分が片付けるって言ってたけど、片付けた気配が無い。
片付けた時に見つかったドラえもんを読んでると、祖母ちゃんが来た。
〔居るかい?入るよ〕
俺が返事しなくても、祖母ちゃんは勝手に入って来る。いつもそうだ。だからドアが開く。
『透の具合はどうだい?』
『今寝てる』
『お前は大丈夫かい?』
祖母ちゃんもだった。透と俺、どっちかが具合が悪くなると、必ず何でもない方にも聞く。
確かに、小さい頃は一緒にお腹が痛くなったり風邪引いたりしてたけど、もう最近はそんな事無いのに。
『俺は大丈夫。あ、ねぇ物置どうするの?父さん何もしてないでしょ?』
本当は、さっきなんで祖母ちゃんが泣いてたのか聞きたかったけど、止めた。今の祖母ちゃんは普段のままだから。
『物置は雄一が、こっちに通って片付けるって言ってたよ』
じゃ、この家は暫くあるのかな?
『ねぇ祖母ちゃん、この家っていつ壊すの?』
祖母ちゃんは少し考えてから
『工事は来月に入ってからだね』
なんだ、暫く壊さないんじゃない。もう少し此処に居たいな、俺此処で生まれたんだし、きっと透だって同じだ。
『あとすこしだけ、此処に居ちゃダメかな?』
『そうしたかったら、お父さん達に言ってご覧』
祖母ちゃんは部屋を出て行った。
透寝てるしな、明日透にでも聞いてみよう。俺もそろそろ寝るかな。
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