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9章:〜いざ!峠へ〜
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『え?でも初めての峠だし、コーナーも判らないし、それに私、ダートの経験はあまり無いから……』
そう言うと山崎が
『いや、好きに走っていいよ。大丈夫、ちゃんと保険に入ってるから。それに暫くは舗装されてるみたいだ』
そう言うとベンが
『俺、便乗させて!』
と始まり、高校生の二人もそう言い、琢磨も勿論そう言った。しかし、琢磨にはオマケが居る。つまり乗車オーバーになってしまう。
と言う事で、じゃんけんが始まった。あぶれた人はレオーネのすぐ後ろの車に乗る事になった。
私が困ってると、松永もマスターも中川も、山崎同様笑ってる。
『ダメですよ〜何かあったらどうするんですか?例えば落っこちるとか……』
私が言うと、松永が
『あ、大丈夫大丈夫、ウィンチあるから』
とアッサリ言った。
やれやれ、口は災いの元だった。
『決まった!ベンさんと琢磨さんと隆と俺、やっぱ全員乗ります』
するとマリが
『琢、私はどうなるのよ!』
と悲鳴の様な声を上げたが、琢磨は
『ゴメン、ちょっとの間他の車に乗せて貰ってて!』
と言って、サッサと助手席に乗ってしまった。
『じゃ、お姫様方は僕の車へどうぞ』
と中川が言う。結希が怨めしそうに私を睨む。何が嫌って彼女はマリと一緒が嫌だった。
かくて、レオーネは満車となった。満車の車を転がす自体、初体験だ。
山崎は、助手席の琢磨に無線の扱い方を簡単に説明した。
『この先まだ20㌔近くは確実に舗装されてるから。カントリークラブがあるんだよ。途中でカントリークラブの看板も出る筈だから、そこを目指して。カントリークラブの駐車場で一旦ストップだ』
そう山崎に指示された。つまりは私に先頭で行け、と言う事らしい。
二番手は、結希とマリを乗せたサーフ。松永のランクルはマスターを乗せて最後尾。
すると結希が急に
『中さぁ〜ん、私ちょっと酔っちゃったみたいなんで、助手席で良いですかぁ?』
と言った。あくまでもマリの隣は避けたいらしい。マリは、先を越された、とばかりに結希を睨んだが、さすがに何も言えなかった。
私は運転席に座ると、シートの位置とミラーの角度を変えた。
そして、ペダルの踏み代を確認し、シフトレバーを動かしてみる。クラッチが幾らか硬い。
うん、何とか大丈夫!
エンジンを掛けると、後部席に三人が乗り込んだ。
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