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7章:〜零磁場〜
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午後3時、つまりティータイム。それが開始予定時刻らしい。最近それが判った。でも、毎週顔を出す固定メンバーが来ないと、暫く雑談して待つ事もある。
今のところ把握してる固定メンバーは、社長の吉村、バイクショップの坂本、咲枝ママ、記者の松永、高校生の和弥、私、そして、小貫琢磨。
『僕、そんなに大した経験なんて無いんですけど……』
琢磨は遠慮がちにそう切り出した。
『いや、命懸けだったじゃないか』
マスターが、私に珈琲を手渡してくれた。
『俺も書き込み見て、驚いたよ』
松永が、出窓にあるノートを見て言った。
ノート、つまり雑記帳なのだが、この店に立ち寄る客は皆、不思議倶楽部のメンバーだ。だから、雑記帳も不思議がいっぱいだった。私は、時間が無く、土曜日のこの時以外、まだ顔を出した事は無かったが、他の面子は普段も時々立ち寄ってるらしい。
『俺も見ましたよ。サイコメタリーって言うんですよね?』
和弥が得意げに言う。
『サイコメタリー?聞いた事無い言葉ね』
咲枝ママが首を傾げる。
サイコメトリーとは人間や団体・土地そのもの、或いはそれに関連する持ち物、著作物などに触れる(本ならば読む)事によってその人間や団体・土地が持っている本質的なエネルギー場(アストラル・コーザル)にアクセスして、その人間や団体・土地が持っている本心や目的・思考方法・想念波動などを垣間見る力。
平たく言うと、強い洞察力。霊媒をされる方が、服等身につけていた物に触れて、その方を理解する事があるらしいが、それもサイコメタリーの一部とか。
『いや、そこ迄の事じゃないんだけどね、単なる僕の妄想かも知れないし』
そう言って、琢磨は話し始めた。
『あまりしちゃいけない事なんですけど、学生時代廃墟に凝ってまして。しかも、都会の廃墟では無く、田舎の廃墟です。
僕の大学はちょっと交通の便が良くなくて、車で通ってました。それで、休みの日には仲間二人と一緒に、あちこち行きました』
『廃墟か……僕も一時取材してた事あったよ。山中の分校や、過疎化して住民の居なくなった村とかね』
松永がペンを止めて、何処か懐かしそうに、でも、とても寂しそうに言った。
『僕らは、あばさけた興味本位てした。それで罰が下ったんです』
琢磨は神妙な面持ちで話し始めた。
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