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6章:〜屍の洞窟〜
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二人は、ジュースと適当に料理を注文し、女将の仕事の様子を見計らいながら、洞窟の話しをしていた。すると女将は外に行き、のれんを下げた。
そして、カウンターの中で酒をコップに注いで一杯飲むと、身の上話しを始めた。
『女将が生まれると、父親は別の女を作ったんだ。母親は父親が家を空ける度に、あちこちを探したらしいが、ある日、近所の人が、二人であの洞窟に入って行くのを見たと告げた。
母親は、姑が止めるのも聞かずに、洞窟に行ったそうだ。その後、三人共行方不明になってるんだ』
『じゃ、あの洞窟で松永さん達が見た人骨って………』
私が隣の松永を見ると、松永は首を傾げながら
『さぁね……結局判らず了いなんだよ』
松永達は、時間になったのであの写真屋に行った。証拠写真が有れば警察は動く。
写真屋は、外の明かりを消しては居たが、入り口は開けていてくれた。松永達が店に入り声を掛けると、写真屋が袋を手にやって来たが、どうにも浮かない顔をしてる。
『無理を言ってすみませんでした』
二人がそう言って頭を下げると、今度は写真屋が謝った。
『何も写って無かったんですよ』
そんな筈は無かった。真っ暗な所でもいつもちゃんと写せてるのだから。しかも池は発光していた。二人は袋からネガを取り出して、店の明かりに透かして見た。しかし、写真屋の言う通り、やはり何も写ってなかったのだ。
『こう言っちゃなんだが、俺も相棒も、失敗した事なんて一度も無かったんだ。なのに、全く何も写って無かった』
松永は悔しそうに言った。
『じゃ、結局警察は動かなかったの?』
咲枝ママが静かに言った。松永は黙って頷いた。
『って事は、今でもそのままの状態なんですか?』
ずっと黙って聞いていた、証券会社に勤める、小貫琢磨が言った。彼は今年社会人になったばかり。
『どうだろう。私有地だと警察は言ってたけど』
松永も首を捻る。
『ただ、俺達が入ったってだけで崩れ落ちる様な場所だったから、今はどうってるんだか』
『いや、きっとこれで良かったのかも知れない。山の神様が、守ってくれてるんだ。松永さん達にしたら悔しいと思うが、神様の仕業なんだ』
吉村が静かに、厳かに言った。
神様の仕業……
そうかも知れない。きっと、神様がそうしたんだ。私はただ漠然と自分に言い聞かせてた。
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