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5章:〜老人の影〜 (3/4)

 老人の家は、裏に竹やぶがあり、旧家造りの藁葺き屋根で、庭も広かった。その庭にバイクを停めると、家の中に案内される。が、妻と二人で暮らしてると言って居たのに、人の気配が無い。

『おい、今帰ったよ。お客さんだ、飯は出来てるかい?』

そう声を掛けたが、やはり誰も居ない。

『しょうがねぇ奴だ。また、どっかんちで話し込んでんだべ』

そう言うと、坂本に上がる様に言い、坂本は座敷に通された。

『どうせ隣んちだんべから、ちょっくら行って来ら』

老人は、そう言って出掛けて行った。そのまま坂本はやる事も無く待っていたのだが、待っても待っても老人は帰って来ない。

仕方なく、坂本自身も隣の家を訪ねる事にした。

隣の家も、やはり同じ様な造りだったのだが、坂本が声を掛けて出て来たのは、あの老人よりも年上と思われる女性だった。
その女性はとんでもない事を言い出した。

『僕が、隣のお爺さんが来て無いかって聞いたら、無いって言うんだ。でもかなり高齢の人だったから、ボケてるのかと思ってね。誰か家族の人は居ないか聞いたら、自分一人だって。仕方なく、僕はお爺さんの家に戻ったんだけど』

坂本は、勿体ぶる様に煙草に火を点け、一服する。周囲の反応を楽しんでるかの様だった。

『それから?早く話して下さいよ』

私はついそう言った。すると坂本はニヤッと笑って見せてから、真剣な表情になった。

『帰った場所に家が無かったんだ』

『嘘でしょ?だって坂本さんお座敷にあがったんでしょ?』

咲枝ママも真剣な顔をしてる。

『うん、上がったよ。でもね、僕のバイクが竹やぶの前にポツンと有るだけだったんだ』

坂本の話しはこれで終わりでは無かった。

『とにかくぞっとしてね、暫く呆然としてたんだけど、でも、竹やぶの前って言うのも気味が悪くなって、それでとにかく町の中心街へ向かったんだ。

そしてそのまま交番に行って、地図を見せて貰ったんだけど、やっぱり家は無かったんだ』

その晩、坂本は駅の傍で野宿をしたが、どうにも腑に落ちず、翌朝明るくなるのを待って、もう一度、銭湯からのルートを辿ってみる事にした。

銭湯から出て、左に行く。つまり、今来た方向と逆だから、そのまま直進する。そして四つ角を右に行き、二股を更に右……

と、まだ早朝のその農道を、見た様な老人が歩いてる。
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不思議倶楽部 ©著者:Jude(ユダ)

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