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4章:〜謎の女〜 (2/7)

 今日の焼き菓子はアップルパイ。私の大好物。マスターは大きめのパイを二つ焼き、適当に切り分けると、丸いテーブルの真ん中に置き、各自に白い小皿とデザートフォークを配る。

お菓子に合わせて今日は紅茶。

三つの硝子の小さな器には、あのマタタビならぬシナモンが。


『メッチャ怖かった!つか、今も怖い……』

和弥の話しはこの第一声でスタートした。

『温泉地って良くあるって聞くけど、自分が体験するなんて思わなかった……この写真も』

和弥が一枚の写真をテーブルに置いた。

その写真は、ゲレンデのリフト乗り場で写した物で、写ってるのは、和弥と二人の男子……………そして……

『この人、何故こんなに薄着なの?』

写真を見て一番違和感を感じたのはそれ。和弥達は、スキーウェアが膨らむ程モコモコになってるのに、その女性はコートも着てなかったのだ。

『だから、この人は寒くも暑くも無い人なの!マジ、ヤベー、俺この写真どうしよー』

他の面々も写真を覗き込む。

『え?薄着って誰が薄着なんです?』

見えない人には見えないらしい。

『この人、この土地の人じゃないみたいね』

その見えない面子が手にした写真を、隣の席からスナックのママ、咲枝が覗き込む。

咲枝は27歳で独立したやり手。
『あ、やっぱりそうですよね』

咲枝の言葉を受けて思わず言った。

『ヤバいっすよね、こ〜ゆ〜のってどうしたら良いんですか?』

和弥が咲枝と私の顔を見る。

『でも、怖いよりも悲しいような』

咲枝はその写真を手にしてじっくり見ながら言うと私に差し出した。

『ね、りぃちゃんはどう思う?』

私がその写真を受け取ると、隣の松永が覗き込む。松永はいつも私の隣。いや、松永自身は何処でも良いのだが、私が松永の隣に居たかった。

松永の速記、何とか見て覚えられないだろうか。

『あ〜!う〜っすらと見える、和弥君の左隣に居るよね?』

松永は多少見える様だった。

『この人だったんですよ〜』

和弥はそう言って、顔に手を当てる。

『しかし、今は大丈夫なんだろ?』

マスターが、いつの間にか飲み切った和弥のティーカップにお代わりを注ぐ。

『いや、今でもダチは二人とも風呂に入ると気配するって言うし、俺も色々あって……』

『温泉郷には色々あるからね』
松永がペンを取った。
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不思議倶楽部 ©著者:Jude(ユダ)

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