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3章:〜粂田へ〜 (7/7)

すると男性は

『秘境っちゅうか、この先は山になってるかんな、その山ん中のトンネルは、出るっちゅう噂はあっけど、俺はまだ見たことねぇ』

そい言うと、楊枝を喰わえて席を立った。

ラーメンを食べながら、何故この店がたった二つのメニューだけでやって行けてるのかを、二人で納得。

とにかく旨かった。

会計をしながら店員に道を尋ねると、国道のまま峠を越えるらしい。二人はそのまま峠越えをする事にした。

辺り一面の木立の中を走り抜ける。空が深い。

トンネルが在った。此処に何かが出るらしい。利一は何かを感じる、と仕切りに言って写真を撮っていたが、結局晃久には何も判らなかった。

ふと腕時計に目を落とした利一が言った。

『まだ、2時半か……』

『ん?なんだ?時間がどうかしたのか?』

『いや、丑三つ時迄まだまだだって思ってさ』

晃久は半分呆れながら

『だから、俺は心霊ツアーに来たつもりはないよ。お前少し不謹慎だぞ』

そう言うと、利一も

『うん、確かに不謹慎だった』

と反省の色を見せた。

『しかし、お前なんだってその住民が移動仕切ったその場所に興味持ったんだ?お前だって不謹慎だぞ?』

そう言われてみれば、確かにそうだ。

晃久は自分が何故こだわっているのか判らなかった。

『一ヶ所寄りたい所があるんだけど、いいか?』

晃久は、この前ご馳走になったお礼をしておきたくて、東京名物を幾つか携えていた。

『あぁ、良いけど、何処だ?』

『田舎の商店なんだけど、この辺に来ると必ず顔を出してるんだ』

山中の国道を抜け久々に出会った信号で停止する。

『この前、夕飯ご馳走になってる。そのお礼を持って来たんだ。それに、色々教えて貰う事も多いしな』

執筆するに辺り、その土地の図書館や市役所を訪ね、色々とリサーチする事は欠かせないが、やはり何と言っても地元の人の生の知識は欠かせない。

『粂田の麓にある七草って場所なんだけど、今蛍の時期でな。この前は蛍の撮影をしたよ。その蛍の清流の傍に店があるんだ』

『へぇ〜蛍かぁ、都心にもその昔は居たらしいが、水目茶苦茶汚いからなぁ……』

と、暫く走ると道端に《七草川》と道標がある。

『な、今道標があったけど、あの川の事か?』

と利一が聞いた。

『あぁ、凄く綺麗だ』

晃久はため息混じりに言った。
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右側の集落 ©著者:Jude(ユダ)

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