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2章:〜源氏蛍の里〜 (2/6)

 源氏蛍の棲息する、綺麗な川。七草と呼ばれるその地域の一角に在る酒屋に、見掛けない一台の黄色いスポーツカーが停まってる。

『すみません、冷えたコーラを下さい』

木製のカウンターの奥から、店の店主が出て来た。

『お、また来たね』

白髪のその店主がにこにこと迎えると、その青年もやはり笑顔になり

『今日は蛍を撮りに来ました』

そう言った。

『はいよ、コーラ』

店主が冷蔵庫から冷えたコーラを取り出し、栓抜きで王冠を取ると、青年に差し出す。青年はカウンターに百円置くと、そのコーラを旨そうに飲み始める。

『んじゃ、20円のお釣りと瓶代で、30円のお返し』

店主がそう言って、10円硬貨を3枚渡そうとすると、青年はそれを受け取らずに言った。

『今度、この一帯の特集記事を載せる事になったんです。この店も載せて良いですか?』

すると、その店主は何の事か理解出来ない様な顔で青年に聞いた。

『特集?特集ってのは、あれかい?テレビとか雑誌とかの………』

『ええ』

青年は、手にしていた一冊の旅行雑誌を店主に渡す。

『この雑誌に載せるんです。俺、実はフリーライターなんです』

そういきなり言われても、やはりその店主には理解出来ない様だったので、青年は自分の記事を載せたページを開いて見せた。

そのページには、この辺りの林道や、名水スポットが載っている。

『あれ、これはこの裏山の………』

店主はそこに掲載されている写真に目を見張った。

『はい、その通りです。俺ずっとこの辺り一帯を取材して来てるんです』

店主はまざまざとその青年を見る。青年はポケットから名刺を取り出した。

『本当はもっと早く自己紹介をしなくちゃいけなかったんですけど、実は俺、こう言う者で』

店主が名刺を見る。

『楠木晃久』

横書きの名刺の中央にはそう名前が記されていて、名前の上には何社かの編集社の名前が載っている。そして名前の下には、Fax番号と電話番号があった。

『あんちゃん、クスノキって言うんかい』

彼はもう何度もこの店を訪れているのだが、店主に名前を明かした事が無かった。

『はい、今更で申し訳ないのですが、クスノキ アキヒサです』

青年が少し照れた様に言う。

『そっかそっか…難しい仕事してんだな』

難しい仕事、まぁそう捕らえられても仕方ないのかも知れない。

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右側の集落 ©著者:Jude(ユダ)

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