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9章:形は変わる
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私も34歳になった。
秘書スーツもなんとなく、しっくりくるようになったし、お揃いの高級時計も違和感がなくなり始めた。
紗英からたまに聞かされる話は、誰々が結婚してとか、生まれた話が多くなる。
ウンウン…
そういう年頃だよね。
お母さん、私
孫の顔は見せてあげられないかもしれない。
ウン、子宮は元気なんだけどたぶん。
羊水の量が減るからとか、体力的にもたなくなるとか、マルコーとか…
女が輝くのは30代よ、と銀座時代ママに言われた。
言われたけどさ。
今の私、輝いてますか
生んでないから体型崩れないし、定期的にsexしてるからホルモン整ってるし、って話なだけだよね。
言葉に書き表せない何かに襲われ始めていた。
紗英もやはり、丸大と
うっすら結婚の話になり始めているそうだ。
そうなるよね。
年頃で1年以上付き合い続いたら。
ちょっとずつ、紗英との距離も開き始めた。
紗英が悪いんじゃない。
全部自分で決めた道
決めた形だから。
普通友達から不倫する、って言われたら嫌がるだろう。
自分に置き換えたりして、嫁の立場になったりして。
それを飲み込んで「どっぷり浸かるなよ」って言葉にだけ納めたんだと思う。
わかってた。
わかってるつもりだった。
村上「あきら、明日13時のランチミーティングだけど手配出来てるよね?10人の」
しまった…
私「確認します」
します、も何も
手配すらしてない…
鶴亀に急いで連絡入れたら、仲良しのおばちゃんが出てなんとかやってくれる事になった。
3000円のランチ懐石
ホワイトボードも置ける、一番広い部屋だ。
間一髪
助かった(T-T)
何やってんだか。
村上は、ただ私を見た。
一応形は作ったから、なんも言わないだけだった。
気を引き締めないと
私情挟むべからず…。
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三十路 ©著者:愛希
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