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106章:【58】 (1/4)

106章:【58】

流石に、仕事に身が入らない。
いてもたっても居られず、早退をした。

その足で、1度だけ行った流星のマンションに走って向かう。

「はぁ、はぁ、はぁ…。」

息が切れ苦しい。

マンション近くに来ると、パトカーが何台も止まってるのが見えた。

「りゅ、流星!!」

嘘…嘘…!
現実を突きつけられ、覚悟していた気持ちなんてなくなっていた。

パトカーをすり抜けて、マンションに入ろうとするが、警官に止められる。

「君!何⁈ここの住人⁈」

「はぁ、はぁ…。流星…!
流星は⁉︎」

そこに、私服の刑事が来た。

「君…愛さんかな?」

「は、はい!はい!そうです!
流星は…流星は⁉︎」

「こちらへ…。」

悲しく微笑み、促される。

「ちょっ、ちょっといいんですか⁈」

他の警官が焦って止めに入る。

無言でうなづき、刑事は、私をマンションに入れた。

エレベーターを上がる時間が、長くて心臓がどうにかなってしまいそうだ。

流星の家の玄関は、開けっ放しになっていて、何人もの刑事が出入りしている光景を目にする。

「ありゃー、心中っすかねー。」

「まぁ、でも仏さん綺麗に亡くなってんなー。」

耳に入ってくる、受け入れられない言葉達…。

足が動かなくなった、私を優しく肩を押す刑事。

「会いますか?
僕は、会ってあげて欲しい。」

「えっ…?」
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ただ…ただ普通を手にしたかった ©著者:なぁ

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