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58章:【35】 (1/3)

58章:【35】

いつもの毎日を過ごす。

ただ、変化があったとしたら、私の頭の中に、あいつがいつもいる。

流星だ。

みんなに、あんな接客で売上を作っているのか…。

ちゃんと指名をして、あいつの売り方をみたいけれど、今行って指名してしまったら、あいつの思うつぼで癪に障る。

どうしよう…。

こうゆう時、相談出来る友達が1人もいないと思い知らされる。



ナイスタイミング?で例の男が来店した。

「よっ!今月はお前にいくら使おかなー。
はははー!」

「いくら使うかは、私が決める。」

男はキョトンとしている。

「ふふふ。
嘘よ、嘘。
ちょっとね、ある人の真似をしてみただけよ。」

「あゆみか?」

「あゆみさんを、上回る奴よ。」

私は、昨日の話をした。

「出すか出さないかは、俺が決めるって、凄いよねー。
私さ、どんな接客してるか見たくて指名したいんだけど、奴の思うつぼになんのがねー。」

「ははは!
そんなホストいるのかー。

お前も、俺みたいに金で買っちゃえば?
なんてなー。
はははー!」

「あ!それいい考え!
手っ取り早いな…。」

「おい!冗談で言ったんだぞ。
そんな得体の知れないホスト買ったら、お前の全ての金吸い取られちまうかもしれねーぞ。

やめとけ、やめとけー。」


この男は、多分るいが店を辞めたことに気づいてるはずだ。

言ってこないのは、全てお見通しで私に気を使ってんのかもしれないな…。

今の私には、この男とお兄ちゃんといる時だけ、真っ黒な感情が流れない唯一の時間だった。
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ただ…ただ普通を手にしたかった ©著者:なぁ

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