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53章:【32】 (1/3)

53章:【32】

塚田が出勤しなくなった…。

電話をしても繋がらない。

今になって、例の男が前に言っていた言葉を思い出した。

何か知っているかもしれない。

電話をかける。

「もしもし、塚田がどこにいるか知ってる⁈」

「なんだ?突然。
ははは。塚田?」

「いきなり出勤しなくなったのよ!
こないだ、塚田の話してたじゃない!何か知らないの⁈」

「まあまあ、落ち着けよ。
俺は、見かけただけで何も知らねーよ。
お前に隠す必要なんてねーだろ。

それにどんぐらい来てねーんだ?」

「2日…。」

「2日⁈
いやいや、2日ぐらいたまには休みたくなる時もあんだろーよ。」

「……。
あんた、私に嘘ついてる。

あんたは、塚田がそんなやつじゃない事分かってるはず。

どんな人間の事も、ちゃんと見てる人だから!」

「俺を、買い被りすぎだよ。
ははは。

それとな、俺は塚田が辞めようが、どうなろうと関係ねー。

じゃあ、またな。」

電話が切れた。

完全に嘘ついてんじゃん。
あいつは、塚田の事どうでもいいなんて思ってない。
私は知っている。
あいつは、気に入らない人間とも普通に話すが、気に入ると目尻に皺をよせて笑う。

塚田と会話する時も、目尻に皺をよせて笑っていた。

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ただ…ただ普通を手にしたかった ©著者:なぁ

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