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31章:塚田side
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31章:塚田side
彼女は、母に似ている気がした。
母は決してダメな母親ではなかった。
若くして俺を産み、誰にも頼らず育ててくれた。
母子家庭だったが、自慢の母だった。
料理も美味しく、いつも笑顔で、俺を迎えてくれていた。
生活は貧しいわけではなく、いたって普通だったと俺は思ってた。
住んでたとこは賃貸アパート2LDK。
誕生日、クリスマスには必ずプレゼントがあり、たまに遊園地とかにも連れていってもらっていた。
ただ、母はもっと俺に何かして上げたかっただけだったんだろう。
俺が9歳、母が26歳の時だった。
母が昼間働いていた会社が潰れた。
友達の誘いもあり、軽い気持ちで夜の世界に足を踏み入れた。
母さん、忘れないよ。
母さんは出勤する前は、必ず俺を抱きしめて言っていた言葉。
「夜1人にしてごめんね。
目が覚める時には、必ずお母さんは隣にいるからね。」
そして母は、最後まで約束を守ってくれた。
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ただ…ただ普通を手にしたかった ©著者:なぁ
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