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4章:芳徳
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「お帰りなさい。」
慶子は、変わらず俺を待っていた。
「なあ。」
風呂の追い炊きをする慶子を呼び止める。
彼女は、少し驚いて俺の方を見た。
「お前、俺のことを、愛しているか?」
自分の口から、こんな陳腐なセリフが出てくるとは思わなかった。
「ええ、愛していますよ。」
慶子は微笑んだ。
小さく。
「だって、夫婦でしょう?」
慶子は、変わらず微笑んでいた。
左の薬に光る指輪が、不気味に光っていた。
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