一年前の春。
ブーブー、ブーブー。

「ラーメン屋・黒野」

久しぶりの名前が
携帯画面に表示された。

最近なかなか店に顔を出せてないな・・・・
気まずさを感じながら電話に出た。

「もしもし。久しぶり。元気？」

すると、
思いがけない一言に驚いた。

「聞いて、聞いて。俺さ。
前に言ってた彼女と
結婚決まったから♪」

少し照れた様子で結婚報告をしてくれた。

「えっ。そうなん。めっちゃ、おめでとう！」
突然の知らせ。

彼の悲しい片思い歴と一途な優しさを長年の相談から知っていた私は、心から嬉しかった。

彼は、私の友人に三年以上片思いし、友人の良いお客様のまま失恋してしまい、お見合いをして、今の婚約者と付き合ったのだ。

「式は来年の6月。二次会は、参加してな」
「ありがとう。やるやぁん。絶対行くわ！」
彼の友人は、面白い人が多いから楽しみだ。
おっとっと。いかん。
私の幸せを探しに行くのではなく、彼を祝いに行くのだ。
一度、祝いの言葉をかけに店に行こうとは思っていたものの、当時の私はなかなか時間が作れずに5月末。

式が近づいてきていた。