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30章:オアシス
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30章:オアシス
結局一馬に連絡しないまま、翌日お店に向かうと
一馬の予約が入っていた。
一馬と一緒の時は、気持ちがほころびているのを感じる。
でも、ゆうくんの事を話さなきゃ。
それを思うと、やはり気が重い。
「ねぇ、なんか菜々ちゃん、元気無い気がするけど、疲れてる⁈
ダメだよ、ちゃんと体も休めなきゃ。仕事、ハードなんだしさ。」
一馬は、いつも優しいね。
笑顔を見ているのが辛くなる。
「あのね、私、一馬に話さなきゃいけない事があるの。
好きって言ってくれて嬉しいけど、その話、一馬にしてからじゃ無きゃ
一馬がそれ聞いたら、私の事嫌いになるかもしれないけど、でも、話してからじゃ無きゃ、付き合うとかは考えられない」
怪訝な顔をする一馬
「、、、、、なんだか分からないけど、何を聞いても、菜々ちゃんの事嫌いになるなんて無いから。
信じて欲しい。」
涙を零す私を、優しく抱きしめて
連絡待ってるね、と言い残して帰っていく一馬。
こんなに優しい人を
私の忌々しい過去に引きずり込んでもいいのだろうか?
話さないで離れた方が良いんじゃ無いか?
千々に乱れながら
「菜々ちゃん、ファイト!」
なんて、店を出てすぐ送られたメールに、微笑みが零れる。
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私があなたを殺した理由 ©著者:花音
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