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10章:第九章/薬
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奈々は
浮き沈みが激しかった
俺が口を挟む暇もなく
仕事の愚痴を話したり
仕事が終わってから
急に"カラオケ行こう"
と言い出して
昼過ぎまで一緒に
カラオケでオールする日もあった
かと思えば
家に帰り着くなり
"寂しい"と泣き崩れて
朝までうずくまっている日もあった
俺は奈々が好きだった
それは出会った日と
なにも変わらない
奈々の笑顔が見たい
奈々の隣に居たい
奈々を幸せにしたい
ずっと思っていた
だから奈々が
なるべく泣かないでいいように
仕事もギリギリに出勤し
キャッチの時間も
奈々の家に毎日寄った
罰則金を払ってもいいと覚悟し
一緒に出勤する日もあった
家に帰れば
奈々が眠りにつくまで
俺も起きていた
全ては俺のエゴかもしれない
だけど俺は
奈々に自分の全てを費やした
一週間程して
"それ"は発覚した
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