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少年はTシャツとデニムパンツを身に付けた
そして宙に視線を泳がせ、やがて何かを思い出したかの様にサイドボードの引き出しを探る
目当ての物はすぐ見つかった
アメリカバック社の♯110フォールディング・ハンター
刃渡り10センチのフォールディング(折り畳み式)ナイフ
かつて少年の庇護者の大男が愛用していたそれが、少年の復讐を果すアイテムとなる筈だ
少年はナイフのブレードを開き、炭素鋼の冴々とした底光りに一瞬見とれると、刃の鋭さを指で確認する
そしてブレードを折り畳み、デニムのバックポケットにしまうと、床の大男の死体を再び一瞥(いちべつ)した
「万蔵、行ってくるよ」
少年はそう言うと、やがて心の中でこうも呟く
(僕を守ってね…)
なぜか、それは口にしない方がいい様な気がしたのだ
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少年地獄 ©著者:黒蝶少年
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