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8章:新装開店
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決める事はまだまだあった
『クシネ』の坪数、席数を考えると、どうしてもこむぎと零人の他にスタッフが必要だった
「僕はどうしてもパン工房に閉じ籠りがちになるし、君も厨房仕事中心になる。少なくとも、ホールスタッフは二名必要だ」
「うん、あたしとしたら、ホールだけでなく、パンか料理も兼任で出来る人が欲しいんだけどな」
「そんな都合よく見つかるか?調理師学校の製パン科の生徒なんか、もう進路先は決まってると思うよ」
「あぶれた生徒がいるかも知れないじゃない?」
「この時期あぶれてる奴なんか僕はいらない」
「…もう」
確かにホール専用スタッフは、雑誌で募集をかけるとすぐ面接に訪れた
その中では新宿のフレンチ・レストランでコミ・ド・ランの経験がある二十歳の桐生敏という若者が良さそうだった
勤めていたレストランが訳あって先月で店を閉め、仕事を失ったばかりだという
人懐こい笑顔が印象的な若者は、誰からも好感を持たれそうだ
ひとりはこの桐生敏で決まりだとこむぎは思ったが、後ひとり、なかなかピンと来る人材が見つからない
そんな中、ひとりの意外な人物が、店を訪れた
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