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7章:フレンチ・トースト
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「は〜…」
自宅のキッチンで、こむぎは何回目かのため息をついた
目の前には皿に乗った二種類のパンがある
ひとつは2センチ厚に切られたバゲットで、大きな気泡の切り口が乾燥し始めているから、明らかにある程度日が経っている物だ
もうひとつはパン・ド・ミで、バゲットよりもやや厚目の3センチ厚に切られている
こちらは今日焼き上げられた新しい物らしく、きめ細かい表面の切り口はしっとりと保たれている
普通の食パンの型よりも小さな型で焼かれたそれは、朝食のフレンチ・トーストにいかにも向いてそうだ
(この二種類を使って二種類のフレンチ・トーストを作る…か…)
こむぎの脳裡に課題を言い渡された時の会話が甦る
「それって、この二つのパンでフレンチ・トーストを家で作って、明日持って来ればいいの?」
「ん〜、それでもパンをどう活かして料理したかの意図はわかるから、いいと言えばいいんだけどね…」
零人は少し考えていたが、不意に何かを思い付いた様にママに呼び掛ける
「ママさん、明日、この時間、調理場をお借りしてもいいですか?」
「もちろんよ、零ちゃん。こむぎちゃんに使ってもらえばいいのね?」
「ええ、このお店の常連の皆さんにも胃に優しい朝食をご馳走できますし」
「それがこむぎちゃんのテストにもなるのね。面白そう」
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