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6章:コンセプト
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「え?…」
(もしかして…誉めて…くれた?…)
(あたしが…ひとりで半ば意地でこだわってる夢を…その形を作るピースを…)
(実現…するかも知れない…)
(パンの世界コンクールで優勝したほどの職人が…あたしの夢に乗るかも知れないんだ…)
そう考えているうちにこむぎは、自分の身体が微かに震えているのに気が付いた
これが武者震いという物であろうか
期待と不安と、得体の知れない恍惚感と
そんな物がこむぎの心を支配していた
「ねぇ」
こむぎは零人が呼び掛けているのに気が付く
「な…何?ノートは見てくれたんでしょ?」
「見たさ、このノートで君のコンセプトの方向性は大体わかった。ついでに言えば、僕のバゲットへの反応で感覚もなかなか鋭い事もね…でも僕のパートナーにするには、もうひと押し欲しいところだ」
零人はそう言うと、紙袋をガサガサさせ、ふたつのパンをこむぎに渡した
「君のカフェでは朝食メニューも出すんだよね」
「うん…そのつもりなんだけど…」
「なら、この二種類のパンで、フレンチ・トーストを二種類、明日までに作ってくれる?それを食べてから君の店に行くかどうかを決める」
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朝いちばん早いのは ©著者:黒蝶少年
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