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3章:バゲット
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「まぁまぁ、待ちなさいよ。零ちゃん、私は構わないからさ、少しはこちらの方のお話を聞いてあげたら?」
笑いを含んだ様な口調のママの仲介に零人はやや渋い表情で一旦黙りこむ
しかし好奇心旺盛なママにあれこれ仕切られたらたまらないと思ったのだろう
「帰ります…」
ママに会釈し、美晴を無視する様にパンの空箱に手をかける
「待って下さい!」
美晴はさすがに慌てて声を上げた
「貴島さん、お話を聞いて下さい!弊社『ミッシェル・ルソー』では、ぜひ、あなたをお迎えしたいのです!」
「お断り…」
「凄いじゃない!」
間髪入れず断ろうとした零人の声を遮ってママの声が響く
「うちの出入りの零ちゃんにパリの一流ブーランジェリーからスカウト?こんなファンタスティックなドラマがうちの店で起こるだなんて!」
零人は一瞬天を仰ぎ、また溜め息をついた
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