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1章:となりのトトロ
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1章:となりのトトロ
子が見たいと言うのでネットで探して見せてやった。
(うちにはテレビがない)
この映画を初めて見た時、私は子供だった。
当時の感想は’ひたすら気持ち悪くて気分の悪い映画’だった。
大人が作った、大人の思う(若しくは大人の願う)、大人の為の行動を恥ずかしげもなく演じる子供が主人公の映画。
さつきもメイもお父さんもお母さんもとにかく気持ち悪くて、
見終わった後に親に感想を聞かれたら、この茶番劇を楽しかったと言わなくてはいけない現実にクラクラした。
今、ババアになって見たら、
至って普通の素直で明るい子供らしい子供が主人公の映画だった。
私は小さい頃から子供らしい子供ではなくて、
かなりヒネクレて素直じゃない子供だったと母が言っていた。
多分、それが’子供である私’の真の姿だったと思うのだけれど、
私の両親はそれを由としなかったようで、
彼らは’子供らしい子供’まさにとなりのトトロのような子供の姿を私に強制した。
子供というものは斯くあるべきである、と。
私にとってはそれは虚像でしかなく、成長すればするほど’本当の自分’と’大人に求められる自分’が乖離していった。
ババアになった今、
自分の子や、習いにくる子供達を見て思う。
子供らしい子供とは、大人が勝手に決めたものではなくて、
大人が観察した大多数の子供への感想に過ぎないと言うこと。
さつきとメイは至って普通の子供だったんだ。
ただ、一つ思う。
大人から見て、我が子に一般的な子供から外れる言動が見られても、
それを否定するのは間違ってるってこと。
子供だからこそ、大人に受けない子供らしからぬ言動をしてしまうのだ。
大人は丸ごと受け入れてくれるものと思っているから。
これこそ子供らしい子供ではないのか。
今日、トトロを久しぶりに見て、
私は自分が接する子供達が大人の思う(望む)子供らしさから外れたことをしても、
否定だけはするまいと強く思った。
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