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4章:四、アル母ト子ノ物語
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俺が居るチームも良いところまでは行くのだが、絶対的なエースが居ないぶん、市のベスト4辺りで星を落とす事が多かった。
「――やっぱり作田が先発だ!」
マウンドで投球練習を始めた昴を見て、応援の父兄たちが苦々しく顔をしかめた。
「あいつの左から内角に差し込んで来る球、打てやしない……」
俺はもちろんベンチスタートで、母はどこで見ているのかと振り返り、眼で捜す。
父母がひしめくライン際から、何メートルか下がった桜の木の下で、ディレクターチェアに座って紙コップのコーヒーを優雅に飲んでいた。
「プレイボール!」
主審が右手を上げて宣告し、試合が始まる。
ーーーーーー
昴は――そう、こいつは高校生になっても変わらない。いつもどんな時もこのクールな表情だった。
奇しくも高校で一緒に野球をやる事になろうとは……。
ーーーーーー
六年生の昴は、澄ました顔でワインドアップから――ドン! と内角に速球を投げ込んで来た。
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アル、ジェンヌ ノ 物語 他三編 ©著者:七斗
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